同じ住所が近所に100軒も?全国でも珍しい「組」の“通称”住所 大分と別府で進む住居表示 【大分発】
大分県大分市や別府市を歩いてみると、電柱などに「別府市火売8組」といった「組」を使った住所の表記が目に入る。 この「組」という住所の表記、少し複雑な事情を抱えていて、自治体は住所を整備しなおす住居表示を進めている。別府市の現状を取材した。 【写真】同じ住所が近所に100軒も?全国でも珍しい「組」の“通称”住所 大分と別府で進む住居表示
同じ建物なのに住所が2つ?
別府市の朝日大平山地区公民館。 ここの住所は別府市大字鶴見940番地の2。しかし一般的に使われている住所は別府市火売(ほのめ)8組1だという。 別府市と大分市の一部地域では住民票などに記載されている「大字の住所」と日常的に使用されている「組」を用いた表記の「通称住所」、2つの住所を持つ場所があるいう。
通称の住所しか知らない市民も
実際に別府市役所で使用されている住民異動届を見ると、住所を書く欄が1つあり一方には「通称住所」の文字が。 別府市役所政策企画課の清末妙課長は「別府市にいると通称住所しか知らない方も多くいたり、郵便番号が通称住所に紐づいているというのもあって通称住所の方が圧倒的に使われている人が多い」と話す。 市によると組を用いた「通称住所」が使用されることになった詳しい経緯は不明だが、地番を利用した「大字住所」では範囲が広く場所を特定するのが大変なため、「通称住所」を使う人が多いという。 別府市では現在約半数の世帯が大字の住所と通称住所、2つの住所がある「二重住所」の状態である。
住所を一本化へ その理由は
現在、大分市と別府市では住所を一本化し二重住所の状態を解消する「住居表示」という取り組みを進めていて、馴染みのある通称住所の地名を使いながら建物1軒1軒に「何丁目何番何号」といった新しい住所を付けている。 住居表示を行う理由のひとつがデジタル化。 別府市によると、2025年度から全国統一の行政サービスシステムが導入される予定で、このシステムやマイナンバーカードでは大字や何丁目の表記の住所を記載する必要があるとのこと。普段、通称住所を使っていると、混乱したり本人確認ができないおそれもあるという。 また、通称住所は「この辺りが何組」とおおまかに定めたもの。特定の建物をピンポイントにさすものではないため、近所と全く同じ住所になる。別府市内では、多いところでは100世帯ほどが同じ通称住所となっているところもあるという。 全国的にも珍しいという「組」を使った通称住所の表記。 市によると、「進学などで県外に行くと銀行などの手続きで通称住所を書いて窓口で「組」の表記について尋ねられた」という問い合わせもあるんだとか。