合わせて8アンダー! ツアー最長コースで“飛ばないふたり”が大健闘
<日本女子オープン 3日目◇28日◇大利根カントリー倶楽部(茨城県)◇6845ヤード・パー72> 安田祐香がラウンド中にストレッチ【写真】 ツアー歴代最長コースで、ショットメーカーふたりが持ち味を存分に発揮した。25歳の吉本ひかると41歳の下川めぐみ。黄金世代とベテランのコンビネーションで、スピーディに好ラウンドが進行していった。 「ショットも良くて、パッティングも入ってくれた。久々に自分らしいプレーができた」と笑ったのは、6バーディ・1ボギーの「67」でトータル1アンダー・18位タイに急浮上した吉本だ。 前半はボギーなしの2バーディ。後半でもフェアウェイウッドの切れ味が抜群で、11番から3連続バーディを奪取。今季の平均飛距離は227.51ヤード(81位)とあって、セカンドは長い距離を残したが「きょうはすごく良かった。やりきれた」と得意のウッドで次々とチャンスにつけて、好調パットで沈めていった。 「今週はパターの練習を重点的にして、フィーリングを合わせていた。だんだん良くなってきていて、きょうは“らしい”パターが打てた。長いのも入ったし、ミドルパットも外しても嫌な外し方ではない。フィーリングが良かった」 今大会は初出場となった2014年から5回連続で予選落ちを喫したが、20年に初めて決勝進出。「明治安田生命レディス」でレギュラーツアー初優勝を挙げた昨年は8位に入った。初勝利で得た自信を糧に、大舞台でも結果を残し始めている。最終日は「トップ10を目指して。アンダーを出せるように」と大会自己ベスト順位を狙う。 下川も平均飛距離は230ヤードに満たないが、ベテランらしく「全体的に耐えました」と4バーディ・1ボギーでトータル1オーバー・26位に浮上。スコアロスを防ぐ“いぶし銀”のプレーだった。パットはやや苦戦したが、フェアウェイキープを徹底し、こちらもウッドで着実にグリーンをとらえた。 「5番、7番ウッドのオンパレード。持つ番手が長すぎる(笑)。初めてのコースで、何を準備したらいいのかわからなかった。『どうせウッドしか使わないんだろうな』と思って、ウッドの練習を多目にやりました」。事前準備がしっかりと生きた。 この日、吉本が唯一ボギーを打った16番は214ヤードの“ロング”パー3。これには下川も「なんてことするんだろう。長すぎますよ(笑)」と苦笑い。ただ、3番ウッドで打った一打は「芯には当たらなかった」ものの、ピン手前にオン。これを2パットのパーでしのいだ。 この「日本女子オープン」には予選会を通過しての参戦。今季レギュラーツアー初出場となる。好スコアの要因はずばり「直球勝負」だ。最近はフェードボールを練習していたが、これがなかなかハマらず「とっちらかっていた」という。 「諦めて、もうストレートでいこうと。(ティで)真ん中を向いて、『どっちかに曲がってもフェアウェイにおさまるだろう戦法』がハマっただけです」と高らかに笑った。決勝ラウンド進出者では日本勢最年長。このあたりの割り切りも、経験豊富なベテランならではだ。 同じようなスタイルで、ふたり合わせて8アンダーをマーク。「(吉本に)完全に引っ張ってもらった感じですね。2サムでテンポが良すぎて、疲れちゃいました(笑)」と心地よい疲れを感じている。あともう一踏ん張り。最終日は「意気込むと空回りするので、意気込まない」と自然体で挑む。(文・牧野名雄)