横浜市教委が傍聴妨害した児童へのわいせつ裁判 元担任の男に執行猶予判決
横浜市立小学校の教室で児童に抱きつくなどしたとして、不同意わいせつ罪に問われた元担任教諭の70代の男の被告の判決公判で、横浜地裁は6日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。 関係者によると、この裁判には当初、市教育委員会が職員を大量に動員して第三者の傍聴を妨げていた。 判決によると、被告は昨年9月22日午後2時20分ごろから同55分ごろまでの間、ドアを閉めて二人きりとなった教室で当時低学年の児童に抱きつき、自身の頬を児童の頬に密着させるわいせつな行為をした。 公判では被告の行為が刑法のわいせつな行為に当たるかなどが争点となった。 判決は、親密な関係にない被告が担任という優位な立場で、第三者に見られない状況でのみ行為に及び、児童に「秘密」と言ったことなどを踏まえ、「単なる親愛表現としてのスキンシップとみることはできない」とした。 一方、マスク越しにキスをしたとする検察側の主張については、意図的とは認められないとした。 菅野裕希裁判官は判決理由で「被害者は強い嫌悪感や不快感を抱いており、今後の成長への悪影響も懸念される」と指摘。「児童の心身の健全な成長を促す立場にあり、児童への性犯罪に対する近年の社会の受け止め方も考慮すれば、認識が甘過ぎた」と非難した。 一方で暴行や脅迫はしておらず、二度と子どもに関わる仕事に就かないと述べていることなどを踏まえ、執行猶予付き判決とした。 公判では、児童や被告の名前、学校名などは秘匿された。
神奈川新聞社