衝撃のW杯予選敗退…仲間に託すことしかできなかったフットサル日本代表エース・清水和也の後悔「いまは時間をかけて、この事実を呑み込んでいく」|緊急インタビュー
この“傷”はこの“傷”のまま背負わないといけない ──敗退が決まって、チームメイトにはなにか言葉をかけることはできましたか? つっつーと健太郎といつも話しているグループがあるので、試合が終わってすぐにそこへ自分の率直な気持ちを送りました。彼らからは「ごめんなさい」、「申し訳ない」という言葉が返ってきて、名古屋に戻ってきた代表組の第一声も「申し訳ない」という言葉で……。その思いというのは自分がもっていたもので、みんなからその声をかけられて自分の無力さを痛感しました。みんなの必死な思いは画面越しでも伝わってきたからこそ、落ち込んで謝罪する姿を見て複雑な気持ちにもなりましたし、その場ではそれ以上の言葉をかけることができませんでした。でも、離脱してしまった僕らの分まで戦ってくれて感謝しかありません。 ──顔を上げて前へ進む以外に選択肢はないと思うのですが、そう簡単に気持ちを切り替えられるものでもないですよね……。 そうですね。気持ち的にはすぐに切り替えられるわけでもなく、いまは時間をかけてこの事実を呑み込むことを最優先にしています。時間が経てばこの“傷”は薄れていくと思いますけど、この“傷”はこの“傷”のまま背負わないと、もしかしたらまた同じことが起きてしまうかもしれない。もう同じ経験をしたくないし、年齢的にも自分がピッチに立って(W杯への切符を)勝ち取らなきゃいけないと思っています。 ──一方で、ピレス・イゴール選手のように「代表の選手としては今日が最後の試合だったと思う」と話している選手もいます。 自分は2016年の日本がW杯出場を逃してしまった時の、隣で見ていた稲葉洸太郎さんの顔をいまでもはっきりと覚えています。洸太郎さんは年齢的にあの大会を最大で最後の目標としてやってきたなかで、4年のサイクルがそこで終わってしまい、それが潰えてしまいました。2021年のW杯でも、これが最後になるという選手たちの姿を見てきて、今回イゴールがそうした発言をしていたのを記事を通じて目にしました。イゴールはオーストラリア戦で自分が怪我をした時に自分が肉離れをした時のことや病気でプレーできなかった時の経験を踏まえて、ポジティブな言葉をいち早くかけてくれました。自分はそういった人たちの思いも背負いたいですし、彼らから学んだことを新しく代表に入ってきた選手たちに伝えていく必要があります。 ──同じことを繰り返さないために、清水選手がいまの時点で考えていることはなにかありますか? いろんな角度からこの敗戦を捉えて、次に向けてどう動くかが大事だと思います。メディアの方々もこの敗戦をどう伝えて、どう問題提起をしてこの先につなげるかが重要で、日本フットサル界がまた前を向けるようなアクションを起こさないといけません。大好きなフットサルをしている以上、このスポーツをもっともっと有名にしていきたいですし、自分より下の子たちが夢を見れるような業界になってほしいと思っているので、いろんな側面から変われるきっかけにしなければいけないし、変われるきっかけになると思っています。そのために、「こうすればうまくいく」という単純な方法があるわけではないですけど、一つ確実に言えることは、自分自身で次の大会へ向けてリベンジするということ。すべてを懸けてまたやっていきたいです。 ──タジキスタン戦から2日後に『前を向くためにも、この責任を常に背負い行動していきます』とSNSを更新されていました。そうした気持ちから思いを綴ったのでしょうか? みんなに本当に申し訳ない気持ちが強かったですけど、発信した意図は、自分自身のためでもありました。いろんな人の気持ちを考えた時に、迂闊に言葉をかけられないなと思い、誰宛とかでもなく、あの投稿はただ単に自分へ向けて、ピッチに立てなかったもどかしさ、出場権を逃してしまった喪失感といった様々な感情を忘れないためにも自分がここで発信するべきだと思ってしました。もう一つは、もしかしたらマイナスに捉える方もいたかもしれないですけど、決してネガティブな意図はなく、自分自身がさらに強くなるために、折れないためでもありました。この敗戦はいろんな人にとってすごくショックな出来事ですけど、こうした記事からいろんなことを感じてほしいし、最終的に前を向いてほしいなと思います。