【巨匠アルネ・ヤコブセン】北欧モダンデザインの父が生んだ名建築4選
北欧モダンデザインの原型をつくり上げ、20世紀最も影響力をもった建築家・デザイナーといっても過言ではない巨匠アルネ・ヤコブセン。デンマークで生まれたヤコブセンは完璧主義と呼ばれ、建築だけでなく家具や照明など細部までこだわる「トータルデザイン」を大切にしていました。アントチェア、セブンチェア、エッグチェアに代表される優れたデザインの名作家具は、今も世界中で愛されて続けるロングセラーとなっています。 【写真集】北欧モダンデザインの父、アルネ・ヤコブセンの名建築 建築作品では近代機能主義を取り入れて余計な装飾を行わず、使い勝手を重視したヤコブセン。建築作品の多くは、ヤコブセンの故郷デンマークにあります。デンマークデザインの父、ヤコブセンの名建築の数々を見てみましょう。
アルネ・ヤコブセンとは一体どんな人物?
アルネ・ヤコブセン(1902-1971)はデンマーク出身の建築家。今日のモダンデザインの原型となった最も影響力のあるデザイナーの一人です。 デンマーク王立芸術アカデミーを卒業後、フレミング・ラッセンと共に発表した「未来の家」で一躍有名に。初期の代表作「ベラヴィスタ集合住宅」など、続々と建築作品を発表していきました。 第二次世界大戦後の1950年代からはデザイン活動に注力。歴史あるインテリアメーカー、フリッツ・ハンセン社と共に家具デザインを手掛け、当時新素材だった成型合板を用いた「アントチェア」や「セブンチェア」、SASロイヤルホテルのために設計された「エッグチェア」など、現在も愛されている名作家具を数多く発表しました。 ヤコブセンは機能的で美しいデザインを追求し、建築内部の家具や小物までデザインする「トータルデザイン」を大切にしていました。また彼の手掛けた家具は柔らかな曲線が多用されており、人を優しく包み込むようなデザインが特徴的です。 そんなアルネ・ヤコブセンの代表的な建築作品ご紹介します。
1.SASロイヤルホテル/デンマーク・コペンハーゲン
1960年にコペンハーゲン中央駅そばに建設されたデンマーク初の高層ビルで、モダニズム建築の代表作の1つ。 内装デザインや客室内の家具、照明、ドアノブなど細部にまでヤコブセンが手掛けており、ヤコブセンの代表作である「エッグチェア」「スワンチェア」もこのホテルのためにつくられたのだそう。 2018年にデンマーク出身の建築家、スペース・コペンハーゲンによって大規模な改修が行われ、現在は「ラディソン・コレクション・ロイヤル・ホテル」として愛されています。このホテルの606号室は、ヤコブセンがデザインしたままの状態が残っている唯一の客室として、今でも人気です。