将棋・西山朋佳女流三冠が棋士編入試験第1局勝利 女性初のプロ棋士へ一歩前進
女性初の棋士を目指す西山朋佳白玲(29=女王、女流王将との三冠)が挑むプロ棋士編入試験五番勝負第1局が10日、東京都渋谷区の将棋会館で指され、西山白玲が高橋佑二郎四段(25)に勝利。女性として編入試験で初の勝利を挙げ、合格まであと2勝となった。 【写真】試験官の高橋佑二郎四段に勝利した西山女流三冠 対局相手の高橋四段は今年4月にプロ入りしたばかりの新人棋士で、ここまで10局を戦い6勝4敗の成績。振り駒の結果、歩が4枚で高橋四段の先手番となった。居飛車党の高橋四段に対し、振り飛車党の西山白玲は三間飛車で対抗。中盤までは互角のねじり合いが続いた。 激しく駒がぶつかり合い、互いの大駒を交換する激しい戦いの中、西山白玲は機敏な指し回しで徐々に優位に。“豪腕”の異名を取る力強い手を連発してリードを拡大した。最終盤は再び混戦となる局面もあったが、高橋四段の反撃を冷静にしのぎ、大事な第1局を制した。 将棋のプロ棋士となるためには、養成機関である奨励会の三段リーグを突破して四段になるか、受験条件を満たして編入試験を受ける必要がある。西山白玲は2010年に6級で関西奨励会に入会し、15年には女性として2人目となる三段昇段を達成。20年の第66回三段リーグでは次点の成績を収めたが、四段昇段にはあと一歩届かず、21年3月に退会した。 その後は女流棋士となり、女流タイトルを計9期獲得。女流転向前と合わせると歴代4位の16期を誇っている。直近の公式棋戦では昨年1月10日から今年7月4日までの20局で13勝7敗の成績を上げ、編入試験受験条件(10勝以上かつ勝率6割5分以上)を満たした。 試験は月1回、棋士番号の大きな順に5人を相手に行われ、3勝を挙げれば合格。女性の受験は2022年の福間(当時・里見)香奈女流五冠(32)に次いで2人目で、福間女流五冠は3連敗を喫していた。