3損保の通期見通し、全社が当期益上方修正した要因
損害保険大手3グループは全社とも2025年3月期連結の当期純利益予想を上方修正した。政策保有株式の売却が想定以上に進み、利益を押し上げる。これまで国内外ともに台風などの大型の自然災害の発生が少ないことも寄与する。ただ、各社とも政策株の売却を除く国内損保事業の実質的な収支は、インフレによる自動車保険金の単価上昇などで厳しい状況だ。代理店における情報漏えいなどの不祥事も企業の信用に影を落とす。 東京海上ホールディングス(HD)は、年初、25年3月期の政策株式の売却を6000億円と予想していたが、7500億円に修正。今夏には、MS&ADホールディングス(HD)とともにトヨタ自動車の自社株TOB(株式公開買い付け)に応募する形式でトヨタ株を放出した。東京海上HDの岡田健司専務は「年初時点で想定していた以上に、対話の結果、(売却に)合意くださる顧客が増えている」と述べた。 MS&ADHDは、海外における保険引き受けが想定以上に好調で当期純利益を上方修正。SOMPOホールディングス(HD)は、25年3月期の政策株式の削減目標を倍増し、利益を押し上げる。 3グループの中核を担う国内損保子会社4社は10月、企業や自治体など向け共同保険をめぐる価格調整で、公正取引委員会から課徴金納付命令を受けた。だが、1社当たりの課徴金は数千万円―数億円にとどまり、影響は軽微だった。 3グループの25年4―9月期は海外が大幅増収となり、3グループとも増収増益。3グループとも過去最高益を更新した。