登山中の「隠れ脱水」北アで医師らが注意呼びかけ
登山は脱水症になりやすいから、十分に水分を取ろう―。26日から2日間、北アルプス白馬岳や登山基地・涸沢の登山口で山岳医や遭難防止団体などが登山者に脱水症対策を呼びかけました。脱水症は熱中症につながりやすく、だるい、食欲がないなどの「かくれ脱水」のサインを見逃さないことが大切。今年から制度化された8月11日の「山の日」をきっかけに、こうした登山の知恵や工夫を周知するキャンペーンが活発になっています。 【写真】多発する冬山遭難 遭難は「出発前」の自宅から始まっている?
いつも以上の汗で自分では気付かないことも
今回は長野県山岳遭難防止対策協会が主催し、全国の9人の医師でつくる「教えて!“かくれ脱水”委員会」や企業が協力。かくれ脱水委員会は「深刻な脱水状態を防いで熱中症で搬送される人をゼロにしたい」との目的で脱水・熱中症予防の啓発活動に取り組んでいます。 この日は委員の1人で日本人初の国際山岳医認定を受け、三浦雄一郎氏のエベレスト遠征のチームドクターも務めた大城和恵(おおしろ・かずえ)医師(循環器内科・内科。長野県出身)らが、白馬の猿倉荘前で登山者に声を掛けました。 新潟県から白馬を訪れた中年の男女グループは、啓発のため無料で提供した経口補水液を飲みながら「全部飲んだほうがいいかな」などとあらためて登山の健康管理を認識した様子。大城医師から「男性高齢者のトラブルが増えています」「登山開始前に水分を」などと説明を受けていました。 大城医師によると、体に強い負担がかかる登山ではいつも以上に多くの汗をかき、荒い呼吸で失われる水分もあって程度の差はあれ自分では気付かない「かくれ脱水」の状態になります。体がだるいと感じたときは脱水のサイン。足がつる場合は塩分の補給が不足している可能性が。脱水が進むと食欲が落ち、一層重い状態になるおそれがあります。 グループの場合は、元気がなくなったりペースが落ちている人は脱水状態になっていることが多いので、休憩と水分補給を。立ちくらみやめまいは高山病のサインでもあり、注意が必要―と指摘しました。