認知症専門医 認知機能のセルフチェックには「開眼片足立ち」「時計の絵を描く」…3つ以上当てはまれば<認知症グレーゾーン>なのかも
厚生労働省が公開している「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」によると、MCIといわれる認知症になる前の段階であれば、対策を行うことで健常な状態に戻る可能性があるそうです。認知症専門医の朝田隆先生は、このMCIについて「正常な脳と認知症の間に位置する、いうなれば“認知症グレーゾーン”」の状態だと言います。朝田先生によると、「体のバランスがとりづらくなるのは、認知機能の低下と深く関係しています」とのことで――。 【表】これって実は認知症グレーゾーンの警告サイン!?まずはチェックリストで確認を! * * * * * * * ◆あなたの脳の状態がわかる認知機能セルフチェック 認知症グレーゾーンは、日常生活に支障が出るほどではないけれど、「あれ?」「ちょっとおかしいな」と感じる状態です。そのため、自分で気づくのは難しいこともあります。 そこで、いくつかのセルフチェックを用意しました。 どれも短時間でできる簡単なチェックですが、あなたや、あなたの大切な家族の脳の状態を知ることができます。 症状と照らし合わせて、ぜひ、判断の基準にしてみてください。
◆グレーゾーンチェック(1)警告サイン 下のリストは、私が作ったものです。認知症グレーゾーンの警告サインのなかでも、代表的なものを選びました。 難しく考えることはありません。直感で項目にチェックを入れていきましょう。 チェック項目のうち、「最近これ、増えたなぁ」という項目が3個以上ある人は、認知症グレーゾーンの可能性が疑われます。 専門の医療機関で診断を受けることをおすすめします。
◆グレーゾーンチェック(2)開眼片足立ち 「グレーゾーンの警告サイン」でいくつかの項目に当てはまっても、「いやいや、自分はまだ大丈夫」と納得できない人のために、体で実感できる認知機能のチェック法を用意しました。 下の図の『開眼片足立ち』です。両目を開いた状態で、どのくらい片足で立っていられるかをチェックしてみましょう。 《やり方》 (1) 両足で立ちます。 (2) 目を開いたまま、何にもつかまらずに、片足で立ちます。体がふらつく人は、すぐにつかまることのできる壁の近くなどで行いましょう。 (3) バランスが崩れ、手で壁などにふれたり、足が床についたら、そこで終了です。 《チェック法》 どうでしたか? あなたは、何秒立っていられましたか? 目安は20秒です。目を開いた状態で20秒以上、片足立ちができなかった人は、グレーゾーンの可能性あり。認知症の専門医を受診することをおすすめします。 そんなことで認知機能が測れるの? と思うかもしれませんね。 じつは、体のバランスがとりづらくなるのは、認知機能の低下と深く関係しています。 実際に、健康な中高年者(平均67歳)1387名を対象に行った京都大学大学院医学研究科附属ゲノム医学センターの調査では、この「開眼片足立ち」で20秒以上バランスを保てなかった人は、自覚症状がなくても、脳血管疾患や認知機能の低下のリスクが高いという結果が出ています。 ちなみに、片足立ちを120秒以上キープできる人は、50歳未満の方なら80%を超えますが、50代では約60%、60代では50%以下にまで減るといわれています。
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