【就活目前】歴史の研究をしている大学生の息子。研究と全く関係ない「消防士」になろうと言い出したのですが、大卒資格を持っているメリットはありますか?
消防士は各地方自治体の消防本部に所属する地方公務員です。その使命は、火災や災害現場における消火活動や救助活動、傷病者の応急処置や救急搬送などを行うことで、地域住民の生命や財産の安全にとって必要不可欠なものといえます。この消防士になるにあたって、学歴はどのような意味を持つのでしょうか。 ここでは、消防士になるにあたって大卒資格を持っていることのメリットを説明していきます。
消防士の採用試験には大卒区分と高卒区分がある
消防士になるためには公務員の採用試験に合格しなければなりません。採用試験には採用区分が設けられており、一般的な自治体では、大卒区分と高卒区分に分けられています。 東京消防庁は1類、2類、3類に分かれていますが、これは大卒、短大卒、高卒の区分と近しい意味です。採用区分に「大卒」「高卒」などとあっても、年齢制限さえ満たしていれば、学歴に関係なく、どの区分の試験を受けることも可能です。しかし、大学卒業時には高卒区分の消防士の年齢制限を満たしていないことが多く、大卒の人は大卒区分の採用試験を受験するのが通常です。
大卒区分と高卒区分の違いは何か
大卒区分で採用された消防士と高卒区分で採用された消防士にはどのような違いがあるのでしょうか。まず、給与に違いがあります。東京消防庁の例でみると、令和5年1月1日現在における1類の初任給は約25万9300円、3類の初任給は約22万1800円です。このように給与面では明確な違いがあります。 また、昇任に関しては、採用区分によって昇任試験を受験するために必要となる勤続年数が異なります。東京消防庁の例でいえば、消防士が消防士長の昇任試験を受験するために必要となる勤務実績は、1類採用者で3年以上、3類採用者で5年以上とされています。それよりも上の役職に上がる場合にも、採用区分によって必要な勤務実績年数は差が設けられているため、早く出世したいと考えるのであれば大卒区分の方が有利です。 ただし、必要な勤続年数を除き、昇任試験は採用区分に関係なく公平・厳正な競争試験で行われています。したがって、学歴に関係なく、努力次第で上を目指せる仕事であるといえるでしょう。