給食費「国全額」要望7割 本紙121自治体アンケート 恒久無償化望む声
日本農業新聞は、政府が検討している学校給食の無償化の考え方について、都道府県や政令市など計121の広域・基礎自治体にアンケートした。子育て支援などを目的に無償化に踏み切る市区町村が増える中、「住む場所によって格差が広がっている」と懸念を示し、7割が国の全額負担による恒久無償化を求め、その大半が学校給食法改正の必要性を指摘した。残る3割は「財源確保が不透明」などの理由で賛否を示さなかった。 広域自治体の47都道府県、基礎自治体の20政令市・政令市を除く31県庁所在市・東京23特別区に昨年11月、調査票を送付。97%の117自治体から年末までに回答を得た。 国による無償化に賛成したのは7割に当たる81自治体で、回答した46道府県の52%、20政令市の70%、政令市を除く30県庁所在市の77%、21特別区の95%。賛成の9割以上が「国の全額負担」を求め、7割が保護者の給食費負担などを規定する学校給食法の改正が必要になるとみている。 一方、基礎自治体のうち独自財源などで既に無償化しているのは、特別区が9割超、政令市1割、県庁所在市1割未満で、“地方間格差”を示した。また、多くの県が「無償化できる自治体とできない自治体の差が広がっている」と“県内格差”も懸念した。 東北の市は「どこに住んでも、等しく安心して子どもを生み育てられる環境を保障するのは国の責務」と主張した。関西の市は「国の政策で無償化された教科書と同様に、給食も義務教育無償の範囲とすべきだ」と提言した。 その上で、国が無償化する場合、地域の実情を反映した制度作りが必要だと指摘。給食と弁当の選択制を取る市は「地域の多様性が否定されないよう」注文し、四国の市は「食物アレルギーなどで(給食が食べられず)弁当を持参している場合への対応」を求めた。 一方、賛否を示さなかった関東の県は「本県だけでも(無償化に)年間80億円と見込まれる」と概算し、国の無償化に懐疑的な見方を示した。東北の別の市は「多子世帯など真に支援が必要な世帯に限るべき」だとし、子育て世帯以外の理解も得られる制度にしてほしいと訴えた。 (給食取材班) <メモ> 政府は昨年6月、「子育て未来戦略方針」を閣議決定し、給食無償化に向けた課題整理のための実態把握を始めた。春にも結果をまとめ、無償化の制度設計に着手する。文部科学省調査では2021年の給食費は小学校で1人当たり月額平均4477円、中学校同5121円。
日本農業新聞