ゴーストタウンに探検隊の残骸に…「世界最大の無人島」の悲しい歴史、カナダのデボン島
火星での生活をシミュレーションする
NASAと火星の研究と探査を進める国際的な非政府組織「マーズ・インスティテュート」は、デボン島への新たな挑戦者たちだ。日光も植物もなく、通信手段が限られた極寒の環境の中で、科学者たちは火星探査の模擬実験を行っている。この「ホートン・マーズ・プロジェクト」は、宇宙飛行士が過酷な環境で訓練し、機械を限界までテストし、植物の成長と長期に及ぶ宇宙旅行を研究できるように発足した。 デボン島の環境は厳しく、常設の研究機関を置くのは難しい。そこで夏の間、直径約23キロの地球最北のホートン・インパクト・クレーターにモジュラーテントが設置された。最高の装備を備えたNASAのチームでさえ、デボン島の冬は過酷すぎるのだ。
自分だけのデボン島探検を計画するには
デボン島は無人だが、ヌナブト準州にはポンド・インレットやアークティックベイといったイヌイットの集落がある。「ここには豊かな文化があります」と、ツアー会社であるトラベル・ナヌブト社の幹部で、カナダでも数少ないイヌイット体験ツアーのリーダーの1人、ジェイソン・エドマンズ氏は言う。「ここへ来た時は、他の文化の影響を見るのではなく、この土地独自の文化に目を向けてください」 今日、多くの人が探検クルーズを利用してデボン島や周辺の村々を訪ねている。アドベンチャー・カナダ社やリンドブラッド・エクスペディション社は、野生動物観察ツアー、ハイキングツアー、古いイヌイットの集落や過去の探検の遺物を探索するツアーなどさまざまな企画を提供している。 しかし、最初に訪れたイヌイットの冒険家以来、デボン島を訪れたすべての人々と同じように、あなたの旅も氷によって左右されることを理解する必要がある。
文=Jacqueline Kehoe/訳=三好由美子