日本の家は明るすぎる!? インテリアのプロがやっている「照明選びのコツ」
人生を変えるリノベーション
料理家であり、英語教育の開発も手がける行正り香さん。近年はインテリアデザイナーとして活躍しながら、二人のお子さんを持つ母でもある行正さんがこのたび家作りに関する本『人生を変えるリノベーション』を上梓しました。 インテリアのプロが教える「これぞ優秀!指名買いしたいおしゃれインテリア雑貨」5選 今回は、行正さんがぜひ伝えたいという照明の選び方についてご紹介します。
大事なのは「どう影を作るか」
照明というと、「空間をどう明るく照らすか」ということにばかりフォーカスされがちですが、大事なのはむしろ「どう影を作るか」。影が重要となるのは、照明によって生じる影自体が空間に奥行きとコントラストを与え、見せたいもの、見せたくないものを振り分けていくからです。 とはいえ、過度に影が多い空間は圧迫感を感じたり、部屋の目的に合わない場合もあるので、その空間に応じて考える必要はあります。 たとえば、キッチンのような場所では手元の作業のためにある程度の光量が必要ですし、リビングやダイニングでは、ソフトな影を作り出すことでリラックスできる雰囲気を作り出すことができます。
照明計画の難しいところは…
家作りのときの照明計画で難しいのは、あらかじめ、どこに照明器具を設置するかを確定しなくてはならないということです。どこにどんな家具を置くかを考え、どこにライトを吊るすか、どこにスタンドライトを置くか、コンセントをどこに設置するか…… 照明計画は、光の強さ、方向、色温度、そして影の形を考慮して行います。これらを初めに考えておく必要があるのは、天井や壁の電気工事は家作りの初期段階で行うためです。 どんなに素敵な場所でも、陰影のない照明デザインではつまらない空間になってしまいます。調光を取り入れ、陰影のある照明デザインを行えば、そこは雰囲気のある空間へと変化します。「影が光をデザインする」ということを意識して考えましょう。
部屋に複数の灯りを設置してみる
天井から吊るすペンダントライト、壁に配線するウォールランプ、絵画を照らしたり、廊下に雰囲気を作ったりするダウンライト、アクセントとなるスタンドライト。一般的な日本の家は、各部屋に室内をすみずみまで照らすペンダントライト1灯だけ、という場合が多いですが、複数の灯りを設置することで空間はガラリと変わります。 まずは自分にとって「理想の照明」をデザインしているレストランやホテルなどの商業施設を見つけて、どのような照明器具をどの位置に配置しているか、観察してみましょう。
【Profile】行正り香(ゆきまさ・りか)
料理家・インテリアデザイナー。福岡県出身。UCバークレー卒業。デンマーク親善大使に選ばれる(2017年)など、北欧のインテリアに造詣が深く、近年はインテリアのコーディネートやリフォームのプランナーとして多数の家作りに携わっている。30冊を超える料理レシピ本のほか、子ども向けの英語スピーキング教材「カラオケEnglish」の開発も手掛ける。2023年、東京国立博物館のアンバサダーに就任。館内のレストラン・カフェの照明のディレクションサポートも務める。
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