『THE SECOND』で注目のタモンズ「ライブの基本を崩したかった」。反対を押し切って開催した47都道府県ツアー『詩芸』
反対を押してスタートさせた全国ツアー
──少し遡って、大宮セブンが全組ファイナリストになるなか、『M-1グランプリ』ラストイヤー(2021年)を終えてからの状況はどんなものでしたか? 大波 『M-1』が終わって、翌年には今もやっている『詩芸』という60分漫才のライブを大宮でスタートさせました。そのライブをどこまで大きくできるかに人生の時間を費やそうと安部と話し合った。でも、大宮で2回やって全国ツアーに行く話を進めていたところで、『THE SECOND』が始まって。 安部 僕らが全国で『詩芸』をやることは賞レースとは全然関係なく始まったことですけど、結果的にいえば、今年『THE SECOND』でベスト4まで行けたのは、全国を回って武者修行したのがやっぱり大きかったと思います。 ──『詩芸』は、反対意見を押して敢行されたと聞きました。 大波 最初はまわりのスタッフからめっちゃ反対されました。 安部 いろんな障害がありましたね。まず収益が見込めないことにそんなお金と時間をかけられないと。 大波 クラウドファンディングで経費を賄うことも最初は理解されず、めっちゃ叩かれましたね。 ──叩かれた。 大波 お笑いライブって、最前列でも最後列でも一律1500円なら1500円を100人からもらう、というのが基本じゃないですか。逆にいうと、どんなに好きでも1500円以上は払えない。僕らはそれを崩したかったんです。10人しか集まらないとしても、その10人を喜ばせることで100人と同じ収益を上げるということを、クラウドファンディングを通じてやったんですよ。そしたらその10人からは喜んでもらえたんですけど、そうじゃない人から「100人呼ぶ努力をするのが芸人やろ」とお叱りを受けた。だけど、僕は「払いたい人」を大事にしたかったんです。批判してきた人には一人ひとりじっくり説明していって、今はこのかたちも理解してもらえるようにはなりましたけど。 ──オートバックス大宮バイパス店のS店長の協力も大きかったそうですね。 安部 大宮セブン号(『それゆけ!大宮セブン』のためにペイントされたロケ用の車両)を貸してもらえるので、レンタカー代がかからない。サンパチマイクもS店長から借りてます。ある日、S店長が「音響どうしてんの?」と聞いてきて。「現場行って現地の機材につないでみて、ダメだったら地声です」と言ったら、「うちの使いなよ」と。 大波 スピーカーまで貸してくれるようになりました。