“若者のディズニー離れ”は幻想だった? 今なお、修学旅行先に選ばれ続ける理由を現役教師が語る「保護者の方から意見が…」
そもそもなぜ、修学旅行で東京に行くの?
経済や交通、文化、流行などの中心地である日本の首都・東京が、どんな街なのか実際に行って見ることは、社会科を中心に学習したことを、実体験を伴いながら改めて習得するのに効果的という観点から、選ばれる理由にもなっているという。 ただ、ここまではあくまで修学旅行先に“東京が選ばれる理由”であって、ディズニーを選ぶ理由ではない。なぜ、学校はディズニーを旅行先に選ぶのだろう。 「実は学習指導要領の中には、『楽しい思い出をつくる』という項目もあるのです。これを手っ取り早く満たせるのが、ディズニーというわけです。また、さきほどあげた“公衆道徳”の点でも、多くの人が利用するテーマパークはそれに当てはまるため、教員たちがディズニーを選ぶのです」 しかし最近のディズニーは前述したように、システムの複雑化が進行している。行く前には入念な下調べをしてルートを決め、効率よく回らなければ普通に楽しむことすらままならないとまで言われている。 例えば、人気アトラクションを楽しむためには、有料のディズニー・プレミアアクセス(DPA)、無料のプライオリティパス、スタンバイパス、エントリー受付などを駆使しなければならないが、詳しくない人がこのワードを聞いてもチンプンカンプンだろう。 さらに、初心者が新エリアに入ろうなんて夢のまた夢で、人気のエリアはパークの勝手を知り尽くし、お金も時間も思う存分かけられる“ガチ勢”たちに占領されている状態だ。 今年6月6日には、東京ディズニーシーで、新エリア「ファンタジースプリングス」がオープンしたが、こちらに入園する権利をめぐっては、今なお熾烈な争いが白熱。SNSでは〈あそこは条件満たした人以外は入れない〉〈今のディズニーはマジで情報戦だから事前準備は必須だよ〉〈ディズニーに行ってまでスマホとずっとにらめっこで疲れた〉といった声があがっている。
スマホがない小学生でもディズニーランドを楽しめるのか問題
こうした現状を考えると、予備知識ナシの小学生たちがディズニーで気軽に遊べるかは定かでない。特にパーク内では、アトラクションに乗るためのパスをとったり、レストランに向かうための道を調べたりなど、何をするにしても“スマホ必須”なのだが、ほとんどの小学校では修学旅行では“スマホNG”という。 「私の勤務する小学校でも、たとえ修学旅行でもスマホは絶対ダメと指導しています。ですがディズニーでは実は、スマホがなくてもキャストにパークチケットを見せたらファストパス的なものを発券してくれます。 なので、教員たちは事前に子どもたちに、『アトラクションの入り口近くにいるキャストさんにパークチケットを持って声をかければいいよ』と伝えています。ただそれ以上のことは特に伝えず、あとは子どもたちに任せていますね。そもそも、われわれ教員だって、ディズニーにそこまで詳しくありませんから」 道に迷ったとしても、ディズニーではキャストに聞けば親切に道案内をしてくれる。ただ、いちいち人に尋ねるこの方法では、どうしてもスマホを使ってテキパキ行動する取る人よりは出遅れてしまうため、アトラクションに乗る回数は減ってしまう。さらに修学旅行では時間制限もあるため、効率よく回ったとしても、子どもたちは2つのアトラクションに乗るので精一杯なのだとか……。 「ほかにも、子どもたちは各自で、パーク内でご飯を済まさないといけません。混み具合を考えて時間と場所を選ばないと、そこでもかなりの時間を無駄にしてしまいます。慣れている子どもがいるグループは、道沿いにあるホットスナックみたいな軽食を選んで待ち時間を短くし、アトラクションに並んでいる間に食べるといったこともしています。 しかしこれは、何度か行ったことがある子どもにしかわからないこと。家庭環境によっては遊園地すらあまり行ったことない子もいるので、人によってはホントにパークのエンターテインメントに圧倒されている間に時間が過ぎちゃうことがあるのも事実です」 話を聞いていると、やはり修学旅行にディズニーを選ぶことが最善策とは思えない。こういった現状を知っていても尚、教員たちがディズニーを選び続ける理由はなんなのか。
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