「予習」を通して中学受験に必要な論理力や読解力を養う! 四谷大塚の中学入試報告会2024をレポート
ITツールやAIの活用で効率的に学習を進める
授業は予習シリーズを使用して行うが、計算や漢字などの基礎・基本を身につけるために、タブレットを使用した「高速基礎マスター」というIT学習ツールも活用している。中学受験対策では、計算力と語彙力が重要になってくる。高速基礎マスターの「国語力5000」「計算力2000」は毎朝のドリル学習として使用できる。「日々の計算」では毎朝20問を配信。1年間で7300問をやることになる。 また、小学6年後半は、AIを活用した学習システム「志望校別単元ジャンル演習」で、AIが生徒本人でも分からない弱点を指摘してくれる。インタビューの中でも生徒たちが「AI演習は弱点を指摘してくれるので助かる」「自分では苦手だと気づいていないウィークポイントをAIが指摘してくれる」と答えている。デジタル教材なので、常に中学受験の最新情報に合わせた問題が配信される。 週テストの復習もタブレットで行う。テストの採点をし、間違えると解き直しをするが、その間違えた問題の類似問題が2問ほど出る。インタビューの中でも子どもたちが、AI演習によって苦手な点を指摘してもらえることやその箇所を学習できたことがよかったと話していた。
算数や国語では問題文の長文化や情報量の増加が見られる
第二部は「教科別入試分析」で、2024年入試の分析を各科目の講師が行った。 全体的に大学入試の変化に対応し、中学受験も変化している。センター試験が知識を問うテストだったのに対して、共通テストは読解力や情報を処理する力、そして、論理的な思考力を問う。そのため、中学入試でもかつてのような難問や細かい知識を問うことは少なくなったが、一方で問題文は長文化し、情報量も多く、それをしっかりと読み込み、情報を分析し処理する能力が必要になっている。 まずは算数で、横浜校舎の蛭田先生が登壇した。特に難関校では、問題を解いていくことで次の問題の答えにつながる誘導を読み解いていく問題が増えている。たとえば、2024年の東京大学の数学では座標を用いて、確率を求める誘導の問題が出た。 それと同じように、開成でも誘導を用いた確率の問題が出ている。誘導の問題を解くには読解力と論理的な思考力が必要であり、それを鍛えることが難関校対策では必要になってくる。 また、問題の長文化が見られる。青山学院の問題は、典型問題だが、問題文が長く、条件が多く書かれている。小学生は4行を超える問題文になると理解できなくなることもしばしばあるので要注意だ。 そして、全体的に「初見の問題」を解くことが求められている。たとえば桜蔭では正方形の辺に沿って小さな三角が回転していく問題が出た。一見、初めて見る問題だが、内容は学んでいることを読み取る力が問われている。 次に国語を南浦和校舎の加山先生が解説する。複数の文章や会話文を用いた問題が見られ、読解力や探求力が求められる。国語における探求力とはなにか。それは具象を抽象化したり、逆に抽象を具象にしたりする能力だ。 たとえば、フェリスでは、高齢になった祖父の登山について、家族がそれぞれの意見をいう。その家族の会話を抽象化し、意見をまとめていくことを問う問題だ。 全体的に長文化が目立ち、その対策として、予習シリーズの6年生(上巻)の発展問題では、平均3800文字の問題文を扱っている。一方で、問題文が少ないとその分、問いが多い場合もあり、決して「問題文が少ないと簡単」ということではない。洗足学園などでは問題文は特別長くないが、選択肢を読み込んで精査しなくてはならない問題が出た。 また、国語の対策で必要なのは、苦手なテーマの一般論を理解することだ。恋愛がテーマの文章が出ても心情が分からないことが多々あるが、一般的な恋愛感情を知識として理解する必要がある。また、論説文ではリテラシーやヒエラルキーといった小学生にはなじみのない言葉を理解しておく必要があろう。 また、漢字の書き取り問題は解答欄が大きくなっている場合がある。つまり、「トメ・ハネ・ハライ」をちゃんと書かなければならない。国語の解答では「他人にちゃんと伝えようという気持ち」が必要となる。