復興告げる初水揚げ おまたせ県産ズワイガニ
●「輝姫」2匹認定、4万円 石川県沖で解禁されたカニ漁で8日、県内の各漁港に初物のズワイガニが水揚げされた。海岸の隆起で休漁を余儀なくされていた輪島など各漁港から船が出され、金沢と加賀での初競りは熱気を帯びた。雌の最高級品「輝姫(かがやきひめ)」は、金沢で揚がった2匹が認定され、ともに4万円で落札。初日はしけで水揚げ量が少なく、雄の最高級ブランド「輝(かがやき)」は出なかったが、復興を告げるかのような、いつもの石川の冬の主役の登場に市場は沸いた。 【写真】次々と船から降ろされるズワイガニ。隆起の影響で設置された仮桟橋からベルトコンベヤーで運び込まれた=輪島港 ●「輝」はお預け 県漁協かなざわ総合市場(金沢市)と加賀支所(加賀市)では午後7時半ごろ、競りが始まり、「冬の味覚の王様」を一目見ようと集まった仲介人や漁業関係者でにぎわった。 市場デビュー3年目となった「輝姫」は、金沢港の2匹が厳しい基準をクリア。県漁協金沢支所所属の「平昌」が水揚げした甲羅幅9・7センチと、金沢港支所の「海栄」が揚げた甲羅幅9・5センチの個体にそれぞれ4万円の値が付いた。 ともに競り落とした金沢市無量寺町の鮮魚店「金沢上島商店」の広報担当山岸礼さん(37)は「(輝姫を)狙っていたのでうれしい。能登復興の象徴として県外の方々にPRしたい」と話した。9日に店頭で販売するという。 一方、高波の影響で珠洲や能都、小木の漁船が出漁できなかったこともあり、「輝」は現れなかった。県漁協によると、県内全域で水揚げ初日に「輝」が揚がらなかったのは、ブランド化した2021年以降初めてとなった。 初日の水揚げ量は雄の「加能ガニ」が1万6320匹、雌の「香箱ガニ」が17万9千匹だった。水揚げ量は例年のおよそ半分にとどまった。加能ガニを対象とした「蟹-1グランプリ」、香箱ガニの「姫-1グランプリ」は中止した。 加賀市の橋立漁港には午後3時ごろから県漁協加賀支所所属の10隻が順次帰港し、夜に初競りが行われた。橋本勝寿運営委員長は、初日の水揚げについて昨年に比べ加能ガニが少なめ、香箱ガニが前年並みとし、「旬の味をできる限り安定供給していきたい」と話した。珠洲市の蛸島漁港の船団11隻は8日深夜、今季初めて出漁した。