元NHKアナウンサー・鈴木健二さん、記憶に残るふくよかな笑顔 印象に残っているのは1984年の紅白歌合戦
【ドクター和のニッポン臨終図巻】 今から40年以上も昔の1982年、『気くばりのすすめ』という本が400万部超の大ベストセラーになりました。 その後、二匹目のドジョウを狙わんとばかりに『続・気くばりのすすめ』を翌年(83年)発売。まあここまではわかります。しかしドジョウはもっといたらしく、『気くばりのすすめ、十五年目』(97年)、『新・気くばりのすすめ』(2004年)、『気くばりのすすめ、三十四年目 どっこい、まだ生きております。』(16年)、『最終版 気くばりのすすめ』(20年)まで数多く出版。もはや<気くばり教>の教祖ともいえる、元NHKアナウンサーで定年退職後も多方面で活躍をされた鈴木健二さんが3月29日に福岡市内の病院で亡くなりました。 享年95。死因は老衰との発表です。 ベストセラーの影響もあって、「NHKの視聴率男」と異名を取った鈴木さん。僕が印象に残っているのは1984年の紅白歌合戦。白組司会だった鈴木さんは、この日で引退を決めていた都はるみさんが大トリで歌い終わったあと、「私に1分間時間を下さい!」と、号泣している都さんにピタッと顔を近づけてアンコールを促しました。「あつかましいオッサンやなぁ。どこが気くばりじゃ」と思いながら見ていた記憶がありますが、実は演出で事前に決まっていたことなんだそう。流石です。 それまでのNHKアナウンサーのイメージを次々と打破した鈴木さん。あの柔和なお顔と大きな体も人気の秘密だったかもしれません。30代頃から、多忙のため食生活が乱れて体重が激増。糖尿病を悪化させ、50歳で左の腎臓を摘出。その後もたくさんの病気を経験したといいますが、晩年まであの貫禄は健在でした。 ところで先日、メタボリックシンドロームの新しい診断基準を新潟大が提案したというニュースをご存じでしょうか? 腹囲の基準値を、現行の男性85センチメートル、女性90センチメートルから男性83センチメートル、女性77センチメートルに変更せよ、というもの。この数字には驚きました。これが基準値になれば新しい肥満薬が飛ぶように売れるかもしれませんね。コレステロールを下げる薬の副作用で筋力が低下し、老化のスピードが早まった人も何人も見てきました。 ある程度歳をとったなら、小太りでいた方が長命だということは、医学博士の柴田博氏が『長寿の嘘』という本で証明しています。