花江夏樹は“日常に寄り添う声”を持つ 『ダンダダン』から「はま寿司」ナレーションまで
TVアニメ『ダンダダン』がその完成度の高さで話題沸騰中だが、クレジットに“花江夏樹”の名を見て納得した人も多いはず。激しいアクションを繰り広げたかと思えば、その直後にはコミカルな表情を。時にはリアルな恐怖や戸惑いを表現し、またある時は軽快な掛け合いで魅せる。そんな緩急自在の展開で、花江はテンポよく「宇宙人は信じているが幽霊否定派」の青年・オカルンの多彩な表情を声で紡ぎ出していく。 【写真】『ダンダダン』花江夏樹演じる“オカルン”こと高倉健 花江は近年、TVアニメ『鬼滅の刃』の竈門炭治郎役や日曜劇場『VIVANT』(TBS系)への出演などを経て、お茶の間にその名を轟かせる存在となっている。とはいえ、圧倒的な演技力で数々の人気作品の主人公を演じているものの、この躍進は決してここ数年で始まったわけではない。2013年にはすでにオリジナルTVアニメ『凪のあすから』で早くも主役の座を射止めていたし、その頃からゲームやシチュエーションCDなど、様々な分野でも精力的に活動を展開していた。 翌年の2014年には、『東京喰種トーキョーグール』の金木研役と『四月は君の嘘』の有馬公生役という、二つの大型作品で全く異なる性格の主人公を見事に演じ切ったことで、一気に注目を集めることとなる。特に金木研役では、優しい青年が徐々に壊れていく過程まで、キャラクターの心情の機微を繊細に表現し、多くのファンの心を掴んだ。同年度の第9回声優アワードでは新人男優賞を受賞。つまるところ、早くからその実力は光っていたのだ。 そして近年の花江は、その実力をさらに開花させている。『オッドタクシー』では40代のタクシー運転手・小戸川宏を演じ、それまでの花江らしさを覆す渋い声質で観客を魅了。また『ヴァニタスの手記』では「謳うように」と形容される特徴的な話し方のヴァニタスを見事に演じきり、『チキップダンサーズ』では驚異の1人8役を演じ分けるなど、常に新たな挑戦を重ねている。さらには、登録者数200万人を超えるYouTubeチャンネルの存在も見逃せない。ゲーム実況を中心に、時には声優仲間をゲストに招いての楽しいトークまで、等身大の花江を垣間見られる場として多くのファンの心をつかんでいる。