NBAグローバルアカデミーを経て今秋よりNCAAディビジョン1にチャレンジする川島悠翔、目標はロス五輪代表とNBAプレーヤー
チームルールを遂行しながら自己をアピールする難しさ
福岡大学附属大濠高校を2年で退学し、オーストラリアのNBAグローバルアカデミーに進んだ川島悠翔は、9月よりNCAAディビジョン1のシアトル大に進学する。201cmの上背に多様なテクニックを備えた『次世代の至宝』に、世界よりすぐりのトッププレーヤーたちと切磋琢磨した日々から学んだこと、シアトル大進学の意外な経緯、今後の目標などについて聞いた。 ――初めての海外生活、どのような苦労がありましたか? 第一はやっぱり英語力です。最初のほうはコーチが何を言ってるのか分からなくて苦労しました。あとは食事ですかね。自分はあまり嫌いな食べ物がないのでものすごく困ったということはありませんでしたが、やっぱり日本のほうがおいしいです。 ――食事はどのような形式でとるのですか? 食堂で、バイキング形式で自分の好きなものをとります。何料理みたいなのはよくわかりませんが、普通のオーストラリアのご飯だと思います。 ――ホームシックになったりすることはありましたか? ちょくちょく日本に帰ってくることができたので、そこまでありませんでした。ただ、帰ってくる頻度が少なかったら大分キツかったと思います。 ――その他、日本の生活と違ったことはありますか? 一番はチーム練習の量ですかね。圧倒的にアカデミーのほうが少なかったです。 ――具体的にはどれくらいなんですか? 月曜と火曜は2時間くらいみっちりやって、水曜日と木曜日、特に木曜は軽めでした。金曜、土曜はまたしっかりやって、日曜はオフというのが一週間の大まかな流れです。最初はちょっと驚きましたが、チーム練習が少ない分、自分の時間がたくさん取れるので、自分で計画を立てて体育館に行くようにしていました。 ――自分で考え、行動する力が求められる環境だったんですね。 自分で考えて行動することは大濠でもずっとやってきたので、それほど苦ではなかったです。アカデミーに身を置いたことでより計画力を身につけられたと言いますか、「どうやってうまくなっていくか」と、自分自身でしっかり考えられるようになったかなと。プロ選手もチーム練習は2時間程度で終わって、自分の時間がたくさんあると聞いているので、良い準備ができていると思います。 ――NBAグローバルアカデミーで過ごした1年間で、特に成長したと感じるのはどのような点でしょうか? まずは英語力が確実に成長しました。バスケットにおいてはオフボールの動き、スクリーンをもらってからどう動くかという点をすごく勉強できたと思います。 ――逆に苦労した点は? セットプレー中心のバスケをやる中で、自分をどうアピールすればいいのかというところは苦労しました。他の選手に得点を取らせるセットプレーをやっているだけだと自分の得点が伸びないし、自分がものすごく活躍するチャンスもあまり得られない。どうすれば自分をもっとアピールできるだろう、どうすればエースになれるんだろうとすごく葛藤しました。 ――その葛藤は打開できましたか? 最後は良くなってきたんですけど、まだまだですね。大学に行ったらもっと自分を出して、アピールしないといけないと思っています。 ――グローバルアカデミーにいた1年間で、特に思い出に残るできごとはありますか? そうですねえ……。ブルガリアから来た選手とケンカをしたくらいですかね(笑)。 ――温厚な川島選手がケンカをするなんて、想像もつきません(笑)。 あとはコーチがゴルフに連れて行ってくれたことくらいですかね。バスケと関係ないことですが(笑)。 ――コーチと選手の間が近かったんですか? 本当に仲が良かったです。敬語がないし、お辞儀をしたりすることもないし、普段は「YO!What’s up?(よう、元気?)」みたいな感じでフレンドリーだけど、練習中はコーチと選手という立場できちんとやる、みたいな感じでした。面白かったです。 ――オフは何をして過ごすことが多かったんですか? 寝るか、シューティングするか、YouTubeを見るか、くらいです。チームメートとは時々ショッピングモールに行きました。また、チームメートにはめちゃくちゃポスタライズ(ブロックの上からのダンク)されましたね。別に跳ばなくてもいいのにブロックに跳んじゃって。もちろん、自分もちゃんとお返ししました(笑)。