56歳、「最後の挑戦」でつかんだキックボクシングチャンピオン 17歳倒し「感無量…」普段は更生保護活動、子どもたちに届けたい思い
児童養護施設の子どもらを支援する岡谷市のボランティア団体「岡谷BBS会」に所属する大島貢徳(こうとく)さん(56)=群馬県嬬恋村=が、タイ東北部のブリーラム県で開かれたタイ式キックボクシング、ムエタイの大会に出場し「タイ国ムエタイイサーン65キロ級王者」のタイトルを獲得した。17日、諏訪市内のジムと嬬恋村をオンラインでつないで取材に応じ「中高年や若者が夢を持つきっかけにしてほしい」と力を込めた。 【写真】元世界王者、辰吉丈一郎の今
大島さんは18歳の時、キックボクシングでプロデビュー。1999年に諏訪市渋崎に空手やキックボクシングのジム「峯心(ほうしん)会」(現・峯心会拳司道場)を開いて指導する傍ら、武道を通じた非行少年らへの更生保護活動にも取り組んでいる。
所属ジムの選手が故障、急きょ挑んだ大会で
タイトルマッチに出場する予定だったジム所属の選手が故障し、急きょ大島さんが出場することに。タイトルはムエタイの二大殿堂の一つ「ラジャダムナンスタジアム」への登竜門として知られているとし、大島さんは「年齢的に最後の挑戦。覚悟しなければいけない」と試合に臨んだ。
相手はパンチ主体で攻撃する17歳の選手だった。「スピードや力がある年代。2ラウンドで決着をつけたい」と積極的に攻めたが、相手は倒れなかった。試合が動いたのは第3ラウンド。大島さんの右アッパーが相手のみぞおちを捉え勝利を決めた。
試合当時は55歳で「55歳にしてタイトルが取れた。感無量だった」と大島さん。タイトル防衛戦については未定だが「ずっと挑戦していきたい。若い人たちには(年を取っても)可能性があるんだと伝えたい」と話している。