ドイツ、今年の成長予測引き下げへ-ショルツ政権に新たな打撃
(ブルームバーグ): 欧州最大の経済大国ドイツは、今年の経済成長率予測をゼロ成長に下方修正する見通しだ。事情に詳しい関係者が明かした。
匿名を希望するドイツの政府関係者によると、2024年の経済成長率は良くても横ばいと、従来予想の0.3%から引き下げられる見込みだ。
ロシアのウクライナ侵攻後のガス供給停止に伴う産業部門の弱体化、中国需要の低迷、電気自動車(EV)生産移行の難航が重くのしかかるドイツ経済にとって、またしても失われた1年となる。
21年12月の就任以来、2四半期連続の経済成長を達成できていないショルツ首相にとって、成長率ゼロの見通しは連立政権の敗北を事実上認めるものであり、新たな打撃となる。
有権者は、欧州議会選や東部諸州での選挙で現政権へのすでに不満をあらわにしている。国政選挙まで1年を切った今、ショルツ首相が意味のある改革を成し遂げる余地は、危険なほど狭まっている。
成長率予測の引き下げ報道を受け、ドイツ債は下落した。2年債の利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い2.1%で、22年以来の低水準に近い。欧州中央銀行(ECB)が10月に再び利下げすることを市場は織り込んでおり、ドイツ債はこの1週間で急騰していた。
ユーロ圏経済が減速している兆候が高まり続ける中、トレーダーは現在、来月に0.25ポイントの利下げが実施される可能性を約80%とみている。
ドイツの国内総生産(GDP)の最新予測は10月9日に発表されるが、関係者は、その直前に予定されている鉱工業生産と製造業受注のデータ次第では、24年の政府の最終予測は、ゼロ成長よりもさらに弱いものになるかもしれないと語った。
関係者の1人は、中国からの弱い需要と米国のトランプ前大統領が返り咲くリスクの中、ドイツはGDPのさらなる押し下げにつながる大嵐に向かっていると述べた。
経済省の広報官は、コメントの求めにすぐには応じなかった。