日本人の旅行格差が止まらない…ビジネスホテルですら「贅沢」になった「驚きの理由」
宿泊費高騰が大きな要因になっている
JTBが推測した訪日外国人の数値は、国内旅行者数全体の約12%程度。逆に言うと約88%は日本人であるため、インバウンド客の増加だけが日本人の国内旅行消費額増加の要因とは言い切れない。 橋賀氏はコロナ禍に行われた全国旅行支援の終了も大きいと指摘する。 「政府や各自治体はコロナ禍で落ち込んでいる旅行の需要を喚起するため、『GOTOトラベル』や『県民割』などの旅行支援を実施していました。たびたび支援期間が延長され、通常よりも安く旅行できる期間はかなり長かったのですが、去年になってそのはしごが外されてしまったのです。それに伴い宿泊費用が高騰したことが、国内旅行消費額増加の要因となっているのではないでしょうか」 観光庁の「日本人の国内旅行の1人1回当たり旅行支出(旅行単価)」データによると、「宿泊旅行」は3兆7670億円で前年同期比8.7%増、2019年同期比16.0%増。一人一回あたりの旅行単価は6万1736円で前年同期比6.1%増、2019年同期比21.7%増と、大幅に増えている。
ビジネスホテルの値上げが著しい
国内消費額増加の要因である宿泊費用の高騰は、一般的にいくらぐらい値上がりしているのだろうか。 「観光地の有名度や宿泊施設によってさまざまですが、京都などの有名観光地では、平均して1.5倍~2倍程度の料金設定になっています。特にビジネスホテルの値上げは著しく、時期的には3倍なんてケースも。ビジネスホテルやカプセルホテルのように、もともと安いとされていた宿泊施設の上げ幅はかなり大きいのです。 旅行需要が増えているため、価格を上げても利益が見込める状況なのでしょう。多くの人が宿泊費の安い宿泊施設を選びがちですが、全体的に価格が上がっている状況ではすべての施設がある程度高くても旅行客は来るので、無理に薄利多売をする必要はないと考えられているのです」 コロナ禍で旅行業界は大ダメージを受けていたため、その数年間の損失を取り戻したいという業界事情を考えると、値上げもやむを得ないのかもしれない。 記事後編は「ほとんどの日本人は海外旅行に行けなくなってしまった…日本が目を背ける『悲しい現実』」から。
A4studio(編集プロダクション)