チョウが大西洋を横断、おそらく初確認、欧州からアフリカを経て南米まで7000kmの超長旅か
「本当にエレガントな」研究、「この先も楽しみ」
米国ニューヨーク市にある米国自然史博物館の無脊椎動物学部門長で、学芸員のジェシカ・ウェア氏は、今回の研究には関わっていないが、「本当にエレガントな」研究と評価する。「完成された物語を見ることができます」 ウェア氏が研究するウスバキトンボ(Pantala flavescens)は、インドと東アフリカを定期的に行き来し、そのたびにインド洋を渡っておよそ6000キロを移動する。 「ほとんどの昆虫にとって、塩を含んだ海水は死を意味します。ですから、昆虫が本当に海を渡っていることを何らかの形で示す証拠があれば、興味をそそられます」 ウェア氏が特に感心したのは、花粉に関する分析だった。もし昆虫と花粉が大西洋を横断しているのだとすれば、植物が原産地からはるか離れた場所でも受粉できるのではないか、とさらなる問いも生まれてくる。 「とても基本的な行動であるにもかかわらず、私たちはまだそのほんのわずかしか理解していません。本当に虫や花粉は大海を横断しているのでしょうか。2024年になってもまだこのような新たな発見があるのですから、この先も楽しみです」
文=Jason Bittel/訳=荒井ハンナ