避難するのはむしろ危険? 過去20年の風水害犠牲者の分析で見えてきたこと
台風19号の犠牲者発生状況は…?
各地に甚大な被害をもたらしている台風19号災害。10月末時点で、90人を超える死者・行方不明者が出ているが、この災害の犠牲者発生状況についても、牛山教授は調査を進めている。 台風襲来からまだそれほど日が経過していないため、調査途中ではあるが、現時点での印象などを聞いてみた。 「今回は洪水や河川へ近づいたことにより屋外で被災したケースが多い印象だ」という。 その中でも「やはり避難中のケースがあったほか、避難の呼びかけ中や、親族などの様子を見に行き遭難したケースもあったことが気にかかる。積極的な対応でかえって命を落とすのはあまりにも痛ましい」と話す。 こうしたことを踏まえて、「風水害時の避難行動は難しい点が多いが、風雨が激しいときには屋外での行動をなるべく控え、やむなく移動する場合でも移動距離を極力短くするなどの注意が重要だろう」としている。 さまざまな風水害が起こった後の報道で、「全員が指定避難所などへ立退き避難することが正しい」という考えからなのか、避難率が低いことを問題視するケースは少なくない。しかし、牛山教授のこのような分析結果は、それとは違った視点で避難の在り方を考える必要があることを示唆しているといえるだろう。 飯田和樹・ライター/ジャーナリスト(自然災害・防災)