Temu運営の中国「拼多多」、爆速成長に変調の兆し 4~6月期の売上高が予想値に届かず、株価急落
越境EC(電子商取引)アプリ「Temu(ティームー)」の急拡大で注目を集めている中国のEC大手、拼多多(ピンドゥオドゥオ)の成長ペースがスローダウンの兆候を見せている。 【写真】拼多多の出店企業向けウェブページ 同社は8月26日、2024年4~6月期の決算を発表。同四半期の売上高は970億6000万元(約1兆9662億円)と前年同期比85.65%増加したものの、アナリストの事前予想の平均値(999億8500万元=約2兆255億円)には届かなかった。
拼多多の売上高の成長率は、Temuの躍進に牽引されて(2023年7~9月期から)3四半期連続で前年同期比90%を超えていた。それだけに、4~6月期の成長ペースが予想を下回ったことは投資家の落胆を誘った。 ■純利益の伸び率も鈍化 売上高の伸び率低下は(ECプラットフォームの出店企業が支払う)取引サービス収入の増加の勢いが鈍ったことが主因だ。4~6月期の取引サービス料の売上高は479億4400万元(約9712億円)と前年同期の3倍以上に増えたが、過去の3四半期は前年同期の4倍を超えていた。
それだけではない。4~6月期は利益の伸びも前四半期(1~3月期)より低下した。4~6月期の非アメリカ会計基準(Non-GAAP)の調整後純利益は344億3200万元(約6975億円)と、前年同期の2.25倍に増加。しかし1~3月期の調整後純利益は前年同期の3倍だった。 アメリカのナスダックに上場する拼多多のADS(アメリカ預託株式)は、4~6月期の決算発表後に急落。8月26日の取引時間中に一時95.86ドル(約1万3834円)の年初来最安値をつけ、前営業日の終値(139.87ドル=約2万186円)から3割以上も下落した。
「過去数四半期の間に(拼多多を取り巻く)経営環境が急速に変化し、(業績変動の幅が大きくなるような)不確実性が著しく増した。わが社が直面する競争は激しくなる一方だ」 拼多多の董事長兼共同CEO(会長兼共同最高経営責任者)を務める陳磊氏は、決算説明会でそう前置きしたうえで、4~6月期の業績について次のように述べた。 「さまざまな要素が複合的に作用し、わが社の事業に避けがたい影響を与えた。その結果、4~6月期の決算に売り上げの不安定さと利益率の低下傾向が反映されることになった」