彦根城、世界遺産の評価基準満たす可能性ある…「他の城と合わせた推薦を考えるべきだ」との指摘も
国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指す「彦根城」(滋賀県彦根市)について、文化庁は9日、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)の事前評価で、世界遺産としての評価基準を「満たす可能性はある」とされた、と発表した。 彦根城の世界遺産登録に向けた動き
イコモスは、彦根城の価値について地元の滋賀県などが、江戸時代に各地の大名が幕府の安定を支えた「大名統治システム」を示す遺産だと訴えている方向性を評価した。一方で、「単独の城郭で十分に大名統治システムを表現できるのかなどの弱点もある」と指摘し、他の城郭と組み合わせた推薦も考えるべきだとするなど、課題を示した。
事前評価制度は、各国が正式に推薦書をユネスコに提出する前に、イコモスから専門的な助言を受けられるよう昨年導入され、日本では彦根城が初めて評価を受けた。
他の城郭との組み合わせについて、滋賀県文化財保護課の担当者は「まずは分析が必要」としつつ、現時点では単独の方針は変更しない考えで、「課題を 真摯しんし に受け止める」と述べた。三日月大造知事は「引き続き、2027年登録の実現を目指してまい進する」とのコメントを出した。
世界遺産を巡っては、9月に「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県)が国内推薦候補に決まった。次の候補は来年以降に選ばれる見込み。