6年で健康寿命が伸びた! 岡山市長に聞く「健康長寿社会」の成果
「SDGs未来都市」は、地方公共団体によるSDGsの取り組みをさらに推進していくために”モデル”を選定する試みで、2018年にスタートした。6年経った今、その成果が見えてきている。 今回は、この「SDGs未来都市」第一弾として選定された岡山市を訪れ、大森雅夫市長にインタビューを行った。2013年から市政を握る大森市長は、建設・国土交通官僚として培った知見を市政に反映し、都市インフラ整備や観光振興といったさまざまな施策において、その手腕を発揮してきた。 筆者は2014年に同市で開催された「ESD(持続可能な開発のための教育)世界会合」(ユネスコと日本政府の共催)に企業として関わり、その際に市長と意見を交わす機会があったが、久しぶりに訪れた岡山市で、街全体に持続可能な未来に向けた変化の兆しを強く感じることができた。 同市はそれ以降、健康、交通、文化の3つを柱に掲げた具体的な政策で持続可能な都市づくりを進めてきた。地域と企業が一体となってSDGsを基盤にした課題解決に取り組んできたようだ。 岡山市の都市づくりの大きな転機は、先述の「ESD」だった。これを機にESDの理念を都市政策の基盤に据え、持続可能な社会の実現に向けた教育の重要性を再認識。地域住民や企業が共にその理念を実現するべく、力を合わせるための政策が展開されてきた。 持続可能な社会に向けた教育の力を広めるため、「ESD岡山アワード」(グローバル賞や岡山地域賞)を設立し、世界中の実践事例を共有するプラットフォームを整備した。この取り組みは、単に地域内にとどまらず、国際的にベストプラクティスを共有し、実践を促進するための重要な基盤となった。 こうした取り組みが評価され、2018年のSDGs未来都市第一弾の選定につながる。当時の市長は「岡山が持続可能な都市としての責務を果たし、国内外のモデル都市として進んでいく覚悟を持っている」と意欲を示していた。 その後2023年11月に「岡山市SDGs推進パートナーズ応援団」を設立。SDGsに積極的に取り組む事業者を市が登録する制度で、2024年9月時点で336事業者が登録されている。SDGsに取り組む事業者のすそ野を拡大し、社会課題の解決と地域経済の活性化を目指しているのだ。