コン・ユやチョン・ユミの新作に「照明店の客人たち」、「イカゲーム」シーズン2も!年末年始に楽しみたいおすすめ韓国ドラマ7選
2024年も残りわずか。今年の年末年始は9連休ということもあり、韓国ドラマを堪能するのにうってつけの時間ではないだろうか。わけても下半期は意外な佳品からあのビッグタイトルのシーズン2まで目白押しだ。時間のある年末年始にイッキ見してほしいおすすめ作品を紹介しよう。 【写真を見る】「愛は一本橋で」の劇中ではチュ・ジフンが「宮 -Love in Palace- 」の名曲を披露するシーンも! ■「ムービング」製作陣によるファンタジックホラーが大ヒット!「照明店の客人たち」 「暴君」「サムシクおじさん」など今年も話題作を多く生み出したDisney+が年末に用意したとっておきの一本が「照明店の客人たち」。配信開始後わずか12日間で、世界中のディズニープラス(米国では Hulu)で2024 年に最も視聴された韓国オリジナル作品となった。暗い路地裏に、ひっそりと明かりを灯す照明店。ただ電球を買いに来る人もいれば、風変わりな人々も訪れる。店主ウォニョン(チュ・ジフン)は、そんな客人たちを静かに受け入れる。 韓国SFドラマの新境地を開拓したレジェンド級シリーズ「ムービング」で脚本を務め、“韓国ウェブトゥーン界の父”と称されるカンフル作家が原作と脚本を担当し、同作で高校教師役を務めた名バイプレイヤーのキム・ヒウォンが初監督した本作。チュ・ジフン、パク・ボヨン、オム・テグ、イ・ジョンウンといった豪華なキャスティングで配信前から注目を集めたが、反響を呼んだのは良い意味で当初の予想を裏切るストーリーラインだった。 レトロな照明店、ファンタジックかつホラーな客人たちのキャラクターだけでも十分楽しいが、実は社会性の強いテーマや韓国現代史で起きた悲劇的出来事の要素がちりばめられていて、重厚なメッセージを持つドラマであることに驚かされる。社会への問題提起、スピリチュアル、恋愛や家族愛のヒューマンストーリーと盛りだくさんな内容でも、緻密さをラストまで維持する物語はさすがカンフルの手腕。心にやわらかな明かりを灯してくれるような展開で、観終わってみると、あなたも大切な誰かを思い出しているかもしれない。 ■チュ・ジフン×チョン・ユミが最高のラブラインを見せる「愛は一本橋で」 「涙の女王」「ソンジェ背負って走れ」など多様なラブコメディが爆発的ヒットを飛ばした今年。「支配種」など近年はシリアスなドラマがメインだったチュ・ジフンが18年ぶりにラブコメに挑み、『スリープ』(23)で怪演を見せたチョン・ユミとラブラインを演じた「愛は一本橋で」(U-NEXT)は笑えるハートウォーミングラブストーリーだ。 祖父母の代からの因縁で不仲のソク家とユン家。そんな一族の孫、ソク・ジウォン(チュ・ジフン)とユン・ジウォン(チョン・ユミ)が、出身校の理事長と、体育教師としてばったり再会する。相変わらず顔を見れば言い争いの二人だが、実は高校時代にさかのぼると複雑で切ない感情の行き違いがあった。 真っ直ぐすぎて失敗してしまった思春期の恋愛が、大人になれば順調に進むかと言えばそうはいかないのが、韓国ドラマによくある“喧嘩ップル”のもどかしさだ。上半期にドラマファンを熱狂させた幼なじみの再会ラブコメ「となりのMr.パーフェクト」も記憶に新しいが、本作もその系譜に連なる王道ストーリーだ。しかし、俳優が違うとこんなにもフレッシュなケミストリーが生まれることに改めて気づかされた。絶妙な間合いでコメディの才を証明したチュ・ジフンと、不平不満顔がとにかく可愛いチョン・ユミの愛あるぶつかり合いはいつまでも見ていたくなる。 ■契約結婚からはじまる大人のラブサスペンス!「トランク」 昨今の韓国ドラマは、サスペンスも恋愛ものも同時に楽しめるオールジャンルものとなっているのが強み。「トランク」(Netflix)もまた、ラブロマンスの濃厚さとサスペンスフルな展開が同時に楽しめる秀作だ。音楽プロデューサーのジョンウォン(コン・ユ)は、妻ソヨン(チョ・ユンハ)から突如別れを切り出される。未練が断ち切れないまま荒れた生活を送っていると、ソヨンが申し込んだという期間限定の契約妻インジ(ソ・ヒョンジン)と出会う。戸惑いといら立ちでスタートしたインジとの同居生活だったが、様々な日常の積み重ねで2人は少しずつ距離を縮めていく。同じ頃、インジを付け狙うテソン(キム・ドンウォン)という男が現れる。 インジが勤務する不可思議な結婚マッチングサービスや、ジョンウォンの抱えた幼少期のトラウマ、そして湖畔に浮かぶトランクケース。時系列を交錯させながら秘密を解き明かしていくスタイルで、最後まで視聴者の没入感を失わせない。特に引き込まれるのがプロダクションデザインで、ジョンウォンの住む豪邸の冷ややかな空気感が彼の孤独な精神を上手く表現している。コン・ユが持つ独特のくたびれた横顔も色気たっぷりでドキドキする。 ■韓国の社会問題をリアルに描写した「江南Bサイド」 社会問題を真っ正面から扱うリアルなサスペンスも、韓国ドラマの大得意ジャンル。「江南Bサイド」(Disney+)は、韓国有数の歓楽街・江南を舞台に、華やかさの裏側“Bサイド”でうごめく犯罪集団と背後の巨大な権力、そして彼らにそれぞれの立場で迫る者たちの疾走感あふれるストーリーだ。 韓国では近年急増する麻薬や違法薬物が社会問題となっている。なかでも若者への影響は深刻で、2023年にはソウルの有名予備校や塾が立ち並ぶテチ洞で高校生たちに麻薬入りの飲料を飲ませようとした前代未聞の事件が起きた。現代社会の病巣を生々しく反映した実録系の筋書きももちろん、江南のクラブで失踪したクラブ嬢のジェヒ(キム・ヒョンソ)をめぐり、刑事ドンウ(チョ・ウジン)、検事ソジン(ハ・ユンギョン)、クラブお抱えの運転手ギルホ(チ・チャンウク)が時にぶつかり、時に共闘する奇妙な関係性もスリリングで目が離せない。過激な描写に注目が集まる一方、ドンウとその娘イェソ(オ・イェジュ)父子の葛藤と愛情、ジェヒたちクラブ嬢のシスターフッド、ジェヒとギルホのほのかな恋愛など感情の機微にも心を動かされる。 ■ヒールなのに憎めない、あの男が帰ってきた!名作のスピンオフ「良いが悪い、ドンジェ」 2017年に第1シリーズ、2020年に第2シーズンが放送され、今なお人気の高いリーガルサスペンス「秘密の森」。検察と警察が激しい権力争いを繰り広げるなかで難事件に挑む検事コンビ、シモク&ヨジンを演じたチョ・スンウとペ・ドゥナの伝説的ケミは語り草となっているが、シモクと対立するソ・ドンジェも隠れた人気キャラだった。彼は法曹界を牛耳る次長検事の右腕でありながら、被疑者からわいろをもらっていたせいで“スポンサー弁護士”というレッテルを貼られてしまい、出世からも遠ざかってしまった。「良いが悪い、ドンジェ」(U-NEXT)では、そんなくすぶっていたドンジェがとある女子高生殺人事件の担当をきっかけに思わぬ事態に巻き込まれていく姿が描かれる。 ハンサムで優秀なのに、その場で小ずるく立ち回ろうとするせいで損をするドンジェは、悪役ながら俗っぽいところが憎めなかった。本作でも、頭の回転の良さを生かした推理力が随所で冴えわたる一方で、凶悪犯にかっこ悪く追い詰められたり、不正を知り激怒する妻(チェ・ヒソ)に平謝りするなど人間臭い姿で楽しませてくれる。ドンジェは組織で都合良く使われる検事であることから、本当に倒されなければならない巨悪はもっと影に潜んでいるという社会批判も暗に示す作品でもある。 ■突然身分が逆転!たくましい女性キャラに勇気づけられる「オク氏夫人伝」 今年、女性だけの国劇団を題材にした「ジョンニョン:スター誕生」でキム・テリ扮する歌手を夢見るジョンニョンのエネルギッシュな魅力に励まされた人も多いのではないだろうか。「オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-」(U-NEXT)は、奴婢の女性主人公クドクがある事件をきっかけに両班の子女テヨンとすり替わるドラマだ。 頭脳明晰なクドクだが、奴婢を理由に主人から髪の毛を抜かれたり、足を切られたりと折檻を加えられ、さらに女性であるがゆえのおぞましい仕打ちにもさらされる。そんな彼女が、偶然手に入れた偽りの人生の中でたくましく生き抜こうとする姿に勇気づけられる。主演のイム・ジヨンは“卑しい身分”と蔑まれるクドクの垢ぬけなさと、外部知(弁護士)を志すテヨンの上品さを巧みに使い分け、演技の幅をまた一段と広げた。クドクに心を奪われる良家の子息で芸術家のソインに扮したチュ・ヨンウも、一途な青年を好演している。現代にも通じる階級社会の傲慢さを時代劇のスタイルで浮き彫りにしつつフェミニズムも意識したストーリーライン、ソインが演出する大掛かりな仕掛けの芝居小屋の様子など、既存の時代劇の設定を自由に作り変える発想も抜群に楽しく見応えがある。 ■世界的シンドロームを巻き起こした傑作が帰って来る!「イカゲーム」シーズン2 12月26日、「イカゲーム」シーズン2がとうとうリリースされた。ギャンブルで多額の借金を抱えたギフン(イ・ジョンジェ)が一攫千金を賭けた危険なゲームで優勝してから3年後の世界が描かれる。 前シーズンから続投するファン・ドンヒョク監督いわく、シーズン1では無計画だったギフンが今作では心情の変化を見せることが大きな特徴だそうだ。イ・ビョンホン演じるフロントマン、コン・ユ扮する“メンコ男”役といった前作の人気キャラと共に、イム・シワン演じる投資に失敗した元インフルエンサー、カン・ハヌル演じる元海兵隊員ら個性の強い新メンバーも加入。ファンにはおなじみとなった決死の「だるまさんがころんだ」も健在で、なおかつこのデスゲームの真相にも迫る展開が待っているという。第4次韓流ブームの火付け役となった「イカゲーム」の新作。“王の帰還”と呼ぶべき仕上がりを期待したい。 文/荒井 南