2024年、この世を去ったスターたちの最高傑作は?(2)はまり役...ジブリ史上No.1の悪役とは?
映画界を彩り、国民に感動を届けてくれたスターたちの訃報が続いた2024年。今回は、今年、惜しまれつつ旅立った名優たちの輝かしいキャリアや代表作を振り返り、それぞれの人生を象徴する名作を厳選して紹介する。スターたちが残した魅力と功績に敬意を表しながら、映画界に刻まれたその軌跡を辿る。第3回。(文・村松健太郎)
寺田農『天空の城ラピュタ』(1986)
映画、ドラマ、また声優やナレーターとしても活躍した寺田農は1942年に生まれ、1961年に文学座に入所、同期には岸田森、橋爪功、樹木希林、北村総一朗などがいた。映画デビューを飾ったのは1965年ということなので映画出演歴だけでも60年近くを誇った。東宝、東映、松竹、大映、日活といった大手映画会社作品はもちろんATG(アート・シアター・ギルド)やVシネ作品も出演している。 ATG製作の岡本喜八監督『肉弾』では主演に抜擢され毎日映画コンクール男優主演賞を受賞した。1970年代に入ると鬼才・実相寺昭雄に重用され始めたほか、相米慎二作品にも『セーラー服と機関銃』(1981)以降常連となる。 比較的若い世代にとっては、テレビシリーズ並びに映画の『仮面ライダーW』(2009)でラスボスを演じて、若き日の桐山漣や菅田将暉の前に立ち塞がった姿が印象的かもしれない。 そんな寺田農の膨大なフィルモグラフィから1本を選ぶとなるとかなりの難題だが、ここは思い切って『天空の城ラピュタ』(1986)を挙げたい。 ご存知、宮崎駿監督による冒険映画。寺田農はここで敵役のムスカ役を好演した。海外映画の吹替の経験はあったもののアニメーションの声優は本作が初めてとのことだった。 演出中に宮崎駿監督と揉めたこともあって寺田は作品と距離を置いていたと語っているが、映画ファンの中で一種のミーム化するなど、俳優・寺田農の代表作の1本となった。 金曜ロードショーの常連作品である本作。年末年始にご覧になる方も多いだろう。ムスカを演じた寺田の俳優魂に思いを馳せてほしい。 (文・村松健太郎)
村松健太郎