「車いすに乗っていても西田さんは…」 盟友・竹下景子が明かす西田敏行さんの晩年 西田さんがたびたび見返していたドラマとは
「車いすに乗っていても……」
近年、西田さんの健康面は必ずしも万全な状態とはいえなかったが、それでも仕事を続ける姿を竹下は目の当たりにしてきた。 「ここ10年の間、西田さんは度々体調を崩されて『新日曜名作座』の収録をお休みされることもありましたが、その度に見事に復帰されてきました」 収録では、得意のアドリブもよく繰り出していた。 「以前、朝井まかてさんの『雲上雲下』で、西田さんが『風』の役を演じたことがありました。ファンタジーだから、草とか風が喋るんです。西田さんは『風』として喋るうちにいつの間にか自然と歌いながら喋るようになっていたんです。メロディーは全くのアドリブなのですが、『風』の役に見事にハマっていて。天性のセンスですよね」 竹下が最後に西田さんに会ったのは今年7月半ばの収録の時だった。 「ここ1年ほど、西田さんはNHKの局内を車いすで移動していて、“やあどうもどうも暑いですねえ”なんてあいさつをしてくれて。何てことのないあいさつなのですが、温かみがあって現場の空気が和らぐんです。車いすに乗っていても西田さんは西田さんでした」 西田さんは82年にTBS系列で放送されたドラマ「淋しいのはお前だけじゃない」を“すごく大事にしている”と語っていたという。 「ひと際思い入れがおありだったようで、今でも時々家で見返す、と仰っていました」 過去作品を見直し、西田さんは“次”に役立てようとしていたのかもしれない。 10月24日発売の「週刊新潮」では、竹下を含め、山田邦子、岡部まり、せんだみつお、井筒和幸監督ら、西田さんとともに仕事をしてきた著名人たちの証言をもとに、「希代の俳優・西田敏行」の素顔を5ページにわたって特集する。
「週刊新潮」2024年10月31日号 掲載
新潮社