地域の課題、自分の目と耳で 東京の高校生 鹿児島県・奄美大島で「探究型」修学旅行
自ら問いを立てて社会課題の解決に導く「探究型」の修学旅行で、東京都の中央大学杉並高校(高橋宏明校長)2年生が鹿児島県・奄美大島を訪れている。日程は11日までの3泊4日で、生徒は地元事業者らと意見を交換。旅先の奄美大島で自然や観光にまつわる課題や取り組みを確かめた。 同校は、観光や見学だけでなく地域を深く学ぶ探究の場として修学旅行を活用している。生徒らは、自ら関心のあるテーマをあらかじめ設定し、行き先を選んで旅に臨む。今年は東北や韓国、マレーシアなどの訪問地5か所を設定。奄美大島へは生徒62人が訪れた。 生徒が据える社会課題は、観光、自然、経済、気候、人口減少など多岐にわたる。8日は、宿泊先である奄美市笠利町のホテル・コーラルパームスに島を良く知る事業者ら7人を招き、最新情報や現場の実情などを聞き取った。 生徒らはテーマごとに7班に分かれ、先生役であるガイドや写真家、ケーブルテレビ社員、地域おこし協力隊のメンバーに質問を繰り返した。切り口は、希少種やノネコ問題、島口、台風や抜港に伴う観光業への影響などさまざま。事前学習との違いや島での取り組みに向き合い、解決策などを考えた。 2年の北川悠太郎さんは、アマミノクロウサギのロードキルをテーマに事前情報と現状などをすり合わせた。「実際に現地で聞くことでこれまでとは異なる手段も見えてくる。(直接話を聞いて)地道に取り組むことの大切さも感じることができた」と笑顔だった。 引率した大舘瑞城教諭は「事前に調べて得られるものと、自分の目で確認できることは異なる。足を運ぶ意味をしっかりと感じてもらえれば」と話した。 期間中は、泥染めやカヌー体験、マリンスポーツ店との意見交換なども実施する。旅で得られた知見は後日にまとめ、校内で発表・プレゼンテーションされるという。