「ママだよ。大好きだよ」おかもとまり 3か月精神科病院に入院して考えた子どもと自分の強み
当時2歳だった子どもはまだ言葉がはっきり話せなかったんです。そのため私が電話口で「ママだよ。大好きだよ」というと、子どもがうんとうなずく。たったそれだけでしたが、子どもの声を聞くことで希望が持てました。 ── 閉鎖病棟ではどのような生活を送っていたのでしょうか? おかもとさん:スマホもなく、話す人もいなく、毎日することがないためひたすら廊下を歩き続けていました。病棟には本も少なく、テレビも相撲ばかり。主治医の先生の診察は3日に1回程度。閉鎖病棟ではカウンセリングも受けられないんですよね。
食事は、少なめ、普通、大盛りに分かれていました。最初は食欲がなかったため少なめの量から食べ始めましたが、徐々に頑張って普通サイズまで食べられるようになりました。
■精神科病院に入院して思ったこと ── 精神科病院に入院していることについて、ご自身ではどう受け止めていましたか? おかもとさん:最初の1か月ほどは、自分自身のことで何も考える余裕はありませんでした。お笑いタレントをやっていたため、おかもとまりだとバレたくなくて人目を避け、マスクで顔を隠していました。
気持ちが変わったのは、2か月目くらいからです。閉鎖病棟から一般病棟に移ることが許可されて、同時に時間制限はあるもののスマホの使用が許可されました。少しずつ気持ちが落ち着いてきたこともあり、「私は熱海の旅館に来た、創作活動をしている作家だ」と思うことにしたんです。 ほんの少し考え方を変えただけでしたが、だんだんとワクワクした気持ちになれました。退院したらやりたいことを書き出し、アニメの企画書と、メンタルケアの講演会講師の台本と企画メールを書いたりしていました。メンタルヘルスケアの重要性を人に伝える仕事がしたいと思えるようになりました。
── 入院中に仕事を再開できる意欲がすごいです。 おかもとさん:精神科病院に入院したことは変えられない事実だから、だったらそれを強みにしようと思って。私、コンプレックスを個性に変えるのが得意なんですよ。芸能界を引退する前、私はものまね芸人としてやってきました。まわりの先輩芸人さんたちを見て学んだことは、どんなマイナスなことで笑いに変える力を持っているんですね。精神科病院に入院したことはマイナスだと思われるかもしれないけど、学んだこともたくさんあります。