チェ・ジウにとって“怖いもの”とは? 「それでも生きていかないと」幸せのための努力も明かす
■チェ・ジウが「怖い」と思うものは?
ジウ:この映画で一番ポイントとなるキーワードは「孤立」だと思うんですね。そういう部分がエピローグに表れていたと思います。でも私は家に一人でいることは割と好きなんですけど、一人でご飯を食べるのを楽しめないタイプなんですよね。できれば家族と一緒に家ではご飯を食べたいし、仕事のときはスタッフさんと一緒に食べたいという気持ちがあって、なかなか一人でご飯を食べたというエピソードはないんです。 ――ジウさんは、ご自身の撮影のとき以外でも、現場でほかの方の演技を見られることが多いと聞きましたが、今回もそのようなことはあったんでしょうか? ジウ:今回は、他の方の撮影現場は見られなかったんですね。というのも、自分が出演しているシーン以外は極力、見ないようにという監督の考えがあったんです。監督の中にはきっと明確な意図があったんだと思います。だから私も自分のキャラクターを演じることに集中して、相手の俳優さんとだけ交流をして演じました。 実は『ニューノーマル』では、台本の読み合わせもなかったんです。出来上がった映画を見て初めて、それぞれのシーンがこんな風につながっていたんだと、驚きを持って見ることができました。 ――監督からのオススメの映画以外に、この映画の準備のために見た作品はありますか? ジウ:実は私は、スリラーやホラーといったジャンルの映画が怖くて、最後まで見られないんです。静かなところに、急に何かが出てくるようなシーンがあると、ドキっとして心臓が破裂しそうになってしまって。なので、監督の『コンジアム』も見てみたんですけど、怖すぎて最後まで見られなかったくらいなんです。監督にも率直に「『コンジアム』を見ようとしたんですけど、怖くて最後まで見られませんでした」とお伝えしました。 普段は、日本のアニメも見ますし、ヒーローものなんかも好きです。メロドラマやコメディーも好きなんですけど、本当にスリラーやホラーだけが怖いんです。 ――ジウさんが日常で「怖い」と思うことはなんですか? ジウ:この『ニューノーマル』という映画のイントロの部分にニュース映像が出てくるのですが、この映像は、実際に韓国で起きた事件を監督が編集したものなんですね。近年だとウイルスに接することを怖いと思いました。コロナと共に私達は3年間くらい過ごしましたが、生きている中でこんなことが起こるとは想像もしていませんでした。 最近はニュースを見るのも怖いですよね。以前だったらありえなかったような恐怖が日常になっています。そんなニュースを見て、自分たちもその事件を体験しているような気持ちにもなります。誰かがインターネットで殺害予告をしていたり、面識のない人に誰かが殺されたり。誰にとっても起こってほしくないことが起こっているのが現代だと思います。 それは、私にとっても非常に怖いことなんですが、それでも私たちは生きていかないといけません。だから、できる限り、幸せに感じるように努力をしています。子どもの成長を見守ったりすることに幸せを感じますし、自分の出演した映画が公開されることになって、その日を待っている今のような時間にもワクワクを感じます。 (取材・文:西森路代 写真:高野広美) 映画『ニューノーマル』は現在公開中。