大分国際車いすマラソン 最も障害が重いクラスT51のハーフマラソン出場、井上聡選手
今度の日曜日17日に行われる大分国際車いすマラソンで、最も障害が重いクラス、T51のフルマラソンの日本記録保持者で、今大会では4年ぶりにハーフマラソンに出場する46歳の井上聡選手を取材しました。 【写真を見る】大分国際車いすマラソン 最も障害が重いクラスT51のハーフマラソン出場、井上聡選手 愛媛県南部の山あいに位置する松野町に住む井上聡選手(46)は、最も障害が重いクラス、T51のフルマラソン日本記録保持者です。19歳の時、交通事故で頚髄を損傷し、全身の運動機能に重い障害がある井上選手が競技をはじめたきっかけは、リハビリで訪れていた大分で出会ったひとりの選手でした。 (井上聡選手)「出会った最初の選手が、ハインリッヒ・クーベール選手。T51クラスのマラソンの第一人者でパラにも何度も出て金メダルを獲っている選手。もうスポーツできないかなとか、マラソンなんか絶対走れないなと思っていた中で、T51でやっている、世界で走っている選手を見て、自分もできるんだと思って、競技を始めました」 ハインリッヒ・クーベール選手(右から2人目・2011年) T51は下半身と体幹や両手に障害がある選手のクラスです。井上選手も両手の握力がなく、腕を曲げ伸ばす力が弱いため、独自のフォームで、車いすを漕ぎます。 (井上聡選手)「T53、54の選手は上からたたき下ろすように漕ぐんですけど、T51の選手は腕を伸ばす力がないので、後ろから手を引き上げる感じで漕ぐので全然フォームが違います」 完走することも難しいという障害が重いクラスの中で競技を続ける井上選手。大分国際にはこれまで20回の出場経験がありますが、ここ数年はコロナ禍やケガのため欠場。今年は4年ぶりにハーフマラソンのスタートラインに並びます。 ーT51の選手の走りで感じてもらいたいことは? (井上聡選手)「難しいなと思えることに挑戦するのはすごく好きだし、それができて走り切った達成感というのは特別なので、そういう思いをしてくれる重度の障害の人が増えれば、自分にとってもすごく楽しみでもあるし、やりがいにもなるかなと思います」
失った機能より、残された機能で何ができるかを見つけていきたいと語る井上選手。その目は優勝のフィニッシュテープを見据えます。
大分放送