深田恭子が魅せる「ルパンの娘」あざとさと紙一重の面白さ
深田恭子の主演ドラマ「ルパンの娘」(フジテレビ系、木曜22時)がクライマックスに差し掛かり、SNSなどでの話題も盛り上がっている。原作は2015年の発表以来、累計発行部数10万部を超えるロングセラーを記録する横関大氏の同名小説。泥棒一家“Lの一族”の娘と、警察一家の息子との許されない恋愛を描くラブコメディーで、アクションシーンで深田が披露するセクシーなボディスーツ姿も見どころ。29日放送の第8話以降、互いの家族に素性がバレてしまった2人の行方に興味がひかれる。
泥棒一家の娘と警察一家の息子が結納
深田演じるLの一族の娘・三雲華は、盗みの才能を持つものの家業を継ぐことを拒み、図書館司書として働く。あろうことか恋に落ちた相手は由緒ある警察一家の息子、桜庭和馬(瀬戸康史)。彼を救うために葛藤しながらも、つい一家の泥棒の手助けをしてしまう華を中心にさまざまなエピソードが紡がれるなか、22日放送の第7話では2人が結納を交わすところまで進んだものの、ついに華の家族が“Lの一族”だということが警察に知られ、和馬の家が警察一家であることも華の家族にバレてしまった。 第8話は、指名手配された華たち家族の行方や、追い詰められた和馬の立場など、気になるポイントが満載だ。
既視感あるヴィジュアルも見事な演出のさじ加減
深田にとっては2009年公開の映画「ヤッターマン」でドロンジョを演じて以来の泥棒役で、体にフィットしたセクシーなボディスーツとベネチアンマスクというヴィジュアルはあざといといえばあざといし、ドロンジョはじめキャット・ウーマン、あるいはマスクはないが「ルパン三世」の峰不二子や「キャッツ・アイ」など既視感ありありだ。しかしそれでもそのあざとさと既視感に乗っかっていたい心地よさがある。ロミオとジュリエットを思わせるバックミュージックなど、かなりベタだけれど、リズムのいいストーリー展開と巧みなセリフまわし、そしてギリギリのところで駄作側に落っこちない演出のさじ加減が見事なのだ。 深田は公式サイトで、「泥棒なんてやりたくないと図書館司書として普通に働く“昼の顔”と、盗みの才能に恵まれてどこかで血が騒いでしまう“夜の顔”という二面性をしっかり演じ分けられたらなと思います」とコメントを寄せているが、十分それは成功しているのではないか。
個性派・演技派が揃ったキャスト
また、個性が濃く演技力のある共演陣が2人を支え、際立たせる。華の父・尊役の渡部篤郎、母・悦子役の小沢真珠、兄・渉役の栗原類、祖母・マツ役のどんぐり、祖父・巌役の麿赤兒、 そして和馬の父・典和役の信太昌之、母・美佐子役のマルシア、妹・香役のさとうほなみ、特別出演で祖父・和一役の藤岡弘、と個性的な役者を揃えた。これだけの個性派が破綻なくまとまっているのは、ストーリーと演出が強い証でもあるだろう。 今クールのドラマが軒並みクライマックスを迎えつつある中、物語の行方が大いに気になる作品の一つと言えそうだ。 (文・志和浩司)