「アベノミクス」をわかりやすく説明 (金融緩和編)
安倍政権の経済政策「アベノミクス」の「3本の矢」の中で、いちばん注目を集めているのが金融緩和です。 【図表】国と地方の借金(2012年度予算まで) 金融緩和とは、日本銀行がじゃんじゃんお札を刷って世の中にお金が回りやすくすること。つまり金利が下がるので、住宅ローンや工場を建てるためのお金が借りやすくなります。また、金利が下がると円が売られて円安になります。円安は輸出を増やすので、製品を海外に売る企業がもうかり、株価が上がります。株価が上がると強気になってお金を使う人が増えます。 日銀はインフレ目標もつくりました。インフレは物価が上がること。目標は物価を前の年と比べて2%上げることで、そのために日銀がお金をじゃぶじゃぶと世の中に流し続けます。そうして物価が上がりそうになると、その前に買い物する人が増え、景気がよくなると期待されています。 4月4日、日銀は新しい金融緩和策を発表しました。世の中に出回るお金の量を2年で2倍に増やすなど、「異次元」とか「バズーカ砲」と呼ばれるほど大胆な緩和策です。日銀のトップは、安倍首相と考えが近い財務省出身の黒田東彦(はるひこ)さんに交代したばかりでした。
金融緩和には反対意見もあります。まず、物価全体はそう簡単には上がらない。仮に物価が上がっても給料はすぐには上がらないし、円安が進むほど原油や小麦などの輸入品が値上がりするので、かえって生活が苦しくなるというのです。 物価はいったん上がり始めると簡単に止めることができず、今月1000円の商品が来月は2000円になるような超インフレになって危ないと言う人もいます。また、日銀がお札を刷りまくるのは国の赤字を穴埋めする狙いだと疑われてしまうと、すでに借金まみれの日本政府の信用がガタ落ちになり、国債(政府の借金)の金利が急上昇して利息が急増し、借金が返せなくなって経済がめちゃくちゃになると警告する人もいます。