ユニフォームがなんと35億円で落札、ベーブ・ルースは本当にそのホームランを予告したのか
映像を確認してみると
ルースがホームランを予告したと信じていた目撃者の一人に、連邦最高裁判所陪席判事の故ジョン・ポール・スティーブンスがいる。2010年の「ニューヨーカー」の記事で、彼は12歳の時にファンとしてリグレー・フィールドでその試合を観戦していたときのことを回想している。 「ルースは確かにセンターにあるスコアボードを示しました。彼はバットで指さした後、ボールを場外に打ち抜いたのです。だから、あれは本当に起こったのです」 ボールが壁を越えた後、シカゴ・カブスの遊撃手ビリー・ユルゲスもまた、ルースがホームランを打つ合図を送ったと思っていた。その後、彼はルースがジェスチャーをしたときにその隣に立っていたキャッチャーのギャビー・ハートネットと話した。 「ギャビー・ハートネットは、ベーブが『これで2ストライクだ』と言っていたと私に教えてくれました」とユルゲスは1994年のインタビューで詳しく話した。これは、ルースがカブスのベンチに対してまだ1ストライク残っていることを示していたという説を裏付けるもののようだ。 しかし、この歴史的な打席の映像には、ルースが2本の指をのばして腕を上げている様子が映っているが、結論は出ていない。ルースはセンター方向を指さしていたのか、シカゴのベンチに対していたのか、あるいは何か別のことをしていたのか?
ホームラン714本、打率.342、2873安打
確かなことは決してわからないかもしれない。わかるのは、1935年に引退し、1939年に新設された野球殿堂入りに最初に選ばれた5人の選手のうちの一人であるジョージ・ハーマン・ルースの驚異的な成績だ。 22年間の選手キャリアで、「打撃の帝王」と呼ばれたルースは714本のホームランを放ち、この記録は39年間破られなかった。また、打率.342、2214打点、2873安打、2174得点という数字も残した。いかなる基準から見ても驚異的な数字だ。しかも、彼が野球を学んだのは少年院なのだ。 「ベーブ・ルースは死ぬずっと前から神話の域に達していました。『貧しい少年が成功する』から始まり、普通の人間とは違う王様のような生活を送りながらも、野球界において以前は想像もできなかった高みに上りつめ、野球の歴史を永遠に変えてしまったのです」とソーン氏は言う。「私は長男にルースの偉業について寝る前に語っていたことを思い出します。すると、長男はある時点で『待って……彼って実在したの?』と言ったのです」
文=Dave Kindy/訳=杉元拓斗