宝塚歌劇団員死亡 遺族側が訴えた「パワハラ」「長時間労働」の中身……弁護士「過剰な“縦の絆”」指摘 宝塚側はトラブル否定
■睡眠は午前3時~6時 休日も仕事
1日のスケジュールについても示されました。 女性は朝8時半ごろに劇団に入ると、午前9時ごろから日付が変わる午前0時ごろまで約15時間、びっしり稽古を行っていたといいます。自宅に帰れるのは午前0時半ごろ。 その後も書面作成などの業務を行い、寝られるのは午前3時ごろから6時ごろまでの約3時間だけでした。こうした生活が1か月ほど続いていたそうです。 亡くなる前月の8月には、6日ほどの休みがあったといいます。この休日について、弁護士は「公演で使用する化粧品・衣装などの買い物をする。さらには、新人公演のための書き物とか新人公演の演出家との連絡なども普段と同様に行っていた」と説明しました。 休日も朝から夜まで働いていたといいます。
■劇団の生徒手帳に書かれた「縦の絆」
会見の最中、弁護士が「これがご本人の持っていらっしゃった生徒手帳です」と示しました。そこには「上級生、下級生とは縦の絆」と書かれています。 弁護士は「このような事態に至った背景の1つには、劇団の縦の関係の過剰なまでの重視(がある)。縦の関係が徹底されて、パワハラと言うべき様々な暴言・発言を繰り返していた」と指摘しました。 亡くなったもう1つの理由として指摘されたのは、上級生からのパワハラです。 一昨年、稽古中に上級生から「前髪を巻いてあげる」と言われた女性。ヘアアイロンを額に当てられ、やけどをしたといいます。 亡くなる直前の9月下旬には、「下級生の失敗は全てあんたのせいや」「マインドが足りない。マインドがないのか!」「うそつき野郎!」といった心ない暴言も受けていたと、遺族側は訴えました。
■劇団側はいじめやトラブルを否定
こうしたパワハラの疑いに対し、劇団側は女性が亡くなった1週間後の10月7日、会見を開いていました。 渡辺裕・宝塚歌劇団企画室長 「今、劇団としましてはいじめという事案があるというふうには考えてはおりません。ただ、劇団としての調査・ヒアリングによる判断なので、きちんとそこを第三者の立場で外部から調べてもらおうと」 「いじめはない」としましたが、外部の弁護士らによる調査チームを立ち上げたことを発表しました。 渡辺室長はまた、ヘアアイロンについては「被害者も加害者もおりません」と強調。トラブルを否定していました。 「両者に、また周囲の人々にちゃんとヒアリングを重ねておりまして、その結果、誤ってそれが当たってしまったということはございましたが、長くとか、そういったことに関しては否定させていただきます」 「ヒアリングの結果、本人たちも『そんなことはなかった』と」