エミー賞14部門ノミネート、主人公が“シリアルキラー”の異色サスペンス「デクスター」 見どころとあらすじに迫る
連続殺人鬼が主人公の異色サスペンスドラマ「デクスター」(全8シーズン、各12話の全96話)。マイアミメトロ警察殺人課の血痕分析官として働くデクスター・モーガン(マイケル・C・ホール)は“シリアルキラー”という裏の顔があり、抑えようのない殺人衝動を抱えながら、法の目を潜り抜ける凶悪な犯罪者たちを次々と殺害していく様子が描かれる。本記事では、ダークな要素が盛り込まれた本作のあらすじや見どころを紹介していく。 【写真】スーツ姿で海岸沿いを歩くマイケル・C・ホール“デクスター” ■主演のマイケル・C・ホールがゴールデングローブ賞「最優秀主演男優賞」を受賞 アメリカの放送局Showtimeにて2006年より放送がスタートした本作は、主人公がシリアルキラーの警察官という異色の設定が大きな話題を呼び、同局史上最高視聴率を記録する人気シリーズとなった。エミー賞では計14部門にノミネートされ、監督賞を含む2部門を受賞。また、デクスターを演じるマイケル・C・ホールがゴールデングローブ賞「最優秀主演男優賞」を受賞したほか、ゴールデンサテライト賞の作品賞、主演男優賞、助演男優賞3部門を制覇するなど、各方面から高く評価された作品となっている。 そんな本作の見どころは、殺害を繰り返すシリアルキラーを主人公に置き、その心の動きや行動に沿ってストーリーが展開していく“異色感”だろう。母親を目の前で殺されるという壮絶な過去を持つデクスターは、自分が普通の人間とは違うことを子どもの頃から理解していた。血に異常な関心を抱き、抑えきれないほどの殺人衝動に駆られてしまうのだ。養父のハリー・モーガン(ジェームズ・レマー)はそんなデクスターを理解し、彼が捕まってしまわないように、「ハリーの掟」として殺すべき人間の選定、痕跡を残さない殺し方を教え込む。 そしてデクスターは「ハリーの掟」を守りながら、法では裁けない凶悪犯人たちを次々と殺害していく。しかし、凶悪な殺人犯たちとの接触を重ねるうちに、彼の人生は思わぬ方向へと進み始めることになるのだった――。 ■出演者たちが明かす“役作り”への思い 血痕分析官とシリアルキラーの“二面性”を持つ難しい役どころを見事に演じ、高い評価を得たマイケル・C・ホール。彼は以前インタビューでデクスターの役作りについて聞かれた際、「連続殺人鬼のインタビュー記事を読んだり、たまたま見つけたドキュメンタリーを見たり、FBIの心理分析官によって書かれた連続殺人鬼を作り上げる彼らの心理についての本を読んだりした」と答えている。 そんなデクスターの同僚を演じる名優たちにも注目だ。マイアミメトロ警察殺人課の刑事でデクスターの同僚であるエンジェル・バティスタを演じるデヴィッド・ザヤスは、俳優になる前にニューヨーク市警で警官として15年間勤務していたそうで、ザヤスは「刑事を演じるにあたり、当時の経験を役に生かしているつもりだ」と語っている。 また、マイアミメトロ警察でデクスターとともに鑑識官を務めるお調子者のヴィンス・マスオカ(通称:マスカ)を演じるC・S・リーは、「僕はお笑い担当だ」と自身の立ち位置を示し、「マスカは笑ってもらえる奴じゃないとダメなんだ」と、コミカルなキャラクターであるマスカへの思いを明かした。重たい空気を和ませるマスカの明るいキャラは、本作には欠かせない存在となっている。 さらに、デクスターの養父・ハリーを演じるジェームズ・レマーは、自身の役どころについて「性格が良く有能な青年(デクスター)が、殺人の衝動を抑えられないという一面を持っている。その彼にどう生きていくべきか導きを与えるのが、僕の演じる父親ハリーだ」と説明。実際に作中では、デクスターの理解者として、彼の人生に影響を与える様子が描かれる。 デクスターの義理の妹であり、マイアミメトロ署の刑事でもあるデボラ・モーガンを演じるのはジェニファー・カーペンター。デクスターを演じるマイケル・C・ホールとは本作での共演をきっかけに交際がはじまり、2008年の大晦日に結婚。その後、2人はシリーズ継続中に離婚しているが、シーズンを通して重要な役どころであるデボラとデクスターの関係性は注目ポイントの一つ。 ■海中に沈めていた死体が発見され、窮地に立たされるデクスター シーズン1ではデクスターの表と裏の顔が明らかとなり、“冷凍庫キラー”と称される犯人による奇怪な連続殺人鬼とデクスターの対決が描かれる。冷凍庫キラーはなぜか彼の秘密を知っているようで、挑発するかのように犯行を重ねていく。その正体に迫ろうとするデクスターだが、同僚のドークス刑事だけは彼の行動を疑っていた――。 シーズン2では、冷凍庫キラーとの戦いを終えて以降、人を殺せなくなったデクスターが描かれる。残忍な自分を取り戻すため「ハリーの掟」から離れようとするデクスター。そんな中、これまで海中に沈めていた死体が大量に発見され、デクスターは窮地に立たされることに――。 シーズン3では、デクスターが麻薬の売人・フリーボを処刑しようとした際に、自己防衛のため1人の青年を殺してしまう。その青年はマイアミで力を持つ地方検事補ミゲル・プラド(ジミー・スミッツ)の弟だった。フリーボが弟を殺害したと思っているミゲルは、フリーボを殺害したデクスターに感謝し、親しく付き合うようになる。デクスターの悪党退治に理解を示すミゲルだったが、次第に意見が食い違っていき――。 シーズン4では、デクスターがかつてから交際していた恋人・リタと結婚する。子供も生まれ、良き父親になりたいと葛藤するが、殺人への衝動を抑えることができずにシリアルキラーとしての裏の顔を家族に隠しながら生活を続けていた。そこへ、過去の事件を再現する謎の連続殺人鬼“トリニティ・キラー”が現れる。デクスターはトリニティ・キラーに興味を抱き近づこうとするが、その行動が彼の人生を狂わせていく――。 ■デボラに殺害の瞬間を目撃され、デクスターの“裏の顔”は2人の秘密に… シーズン5では、トリニティ・キラーのとある犯行がこれまでの傾向と異なることに気付いたデボラのパートナー捜査官であるジョーイ・クイン(デズモンド・ハリントン)が、デクスターに疑惑の目を向ける。シングルファーザーとなってしまったデクスターは子供たちのために殺人衝動を抑えようとしていたが、ある犯罪の事実に気が付いたことで再び獲物への執着が止められなくなる――。 シーズン6では、ヨハネ黙示録の予言に従って人を殺す“黙示録キラー”と呼ばれる殺人鬼が現れる。元神学教授のジェームズ・ゲラー(エドワード・ジェームズ・オルモス)とその教え子で美術品修復業のトラヴィス・マーシャル(コリン・ハンクス)が容疑者として疑われていたが、デクスターは犯罪歴のある聖職者ブラザー・サム(モス・デフ)を殺人犯だと考えていた。一方、デボラは事件の影響で受けていたセラピーで、義兄への思いに気付いてしまい――。 シーズン7では、デクスターが犯人を殺害するところをデボラが目撃したことで、互いに動揺しながらも協力して証拠を隠滅する。マイアミメトロ署警部補のマリア・ラゲルタ(ローレン・ベレス)は、解決済みとされていた、デクスターが殺害した死体が発見された“ベイハーバー切り裂き事件”の新たな証拠を見つけ、再捜査を始める――。 シーズン8では、“ベイハーバー切り裂き事件”の追求を逃れたデクスターは、相変わらず表と裏の顔を持ったまま人生を送っていた。デボラは警察を退職し、探偵事務所に勤務。マイアミメトロ署では、脳の一部を切除する殺人犯“脳外科医”の捜査を進めていた。かつてデクスターのために「ハリーの掟」を作った精神科医ボーゲル博士(シャーロット・ランプリング)は、“脳外科医”の捜査を続けるデクスターに、自分が過去に診た患者を調べるように依頼する。そこへ突然、元恋人のハンナ・マッケイ(イヴォンヌ・ストラホフスキー)が姿を現し――。 抑えられない殺人衝動の果てに狂い始めたデクスターの人生…。衝撃のラストを迎える本作は、オンライン動画配信サービス「Hulu」にて、シーズン1~8の全シーズンを見放題配信中。