パラリンピック選手、パリできめ細やかに支える…エアウィーヴ個別に調整・車いすや義足の修理センター
パリ五輪に続き、パラリンピックの開幕も間近に迫っている。大会運営や日本を始めとする選手のパフォーマンスを支える様々な取り組みも本番に向けて進んでいる。(畔川吉永、佐野司)
用具修理、最大規模で
パリでは初開催となるパラリンピックには、約185の国・地域から4400人のアスリートが参加する見込みで、選手村内に設けられる「修理サービスセンター」は過去最大規模となる予定だ。
センターはドイツの医療福祉機器メーカー「オットーボック」が運営。村内の約720平方メートルの建物内に修理用の溶接機器や専用の作業台などを設置するほか、14の競技会場にサテライトの修理ブースも設ける。
パラ開幕前の8月18日から大会終了まで、日本人を含む41か国・地域の義肢装具士や溶接技術者ら164人で編成。全ての選手や競技関係者向けに、車いすレーサーや義足などの競技用具のほか、日常用の福祉機具のメンテナンスや修理を無償で実施する。開閉会式で使う国旗のポール部分を差し込むホルダーを車いすや選手の障害に合わせて調整するサービスも行う。
6月にドイツの本社から必要な機械や資材、予備のタイヤなどのパーツを運び終え、準備は最終段階。同社では期間中、約2200件の修理サービスを想定している。
センターは1988年ソウル大会で4人のスタッフで始まり、パラリンピックとともに規模が大きくなった。「選手が万全な状態で競技に専念できるためのサポート」(同社担当者)を徹底する姿勢は変わらない。
マットレス個別調整
五輪・パラを通じて選手たちの睡眠を支えるのが選手村に約1万6000床のマットレスを提供する「エアウィーヴ」(東京都)。体形に合わせてマットレスの硬さを調整できる仕様は、特に様々な障害を抱えるパラアスリートの体調管理にとって大きな味方になりそうだ。
マットレスは頭を含む肩、腰、脚の3ブロックに分割できる構造。それぞれ表裏で硬さが異なり、ひっくり返して組み合わせることで選手個々の体の特性に応じてカスタマイズができる。例えば、肩のブロックを「軟らかめ」にして寝返りしやすくしたり、腰のブロックを「硬め」にして患部の負担を軽減したりする。