習近平政権、ますますヤバい状況に…「銀行の稼ぐ力」低下で中国の金融システムが「崩壊」へ
銀行の稼ぐ力が落ちてきている
2024年1~3月期、中国で上場する銀行58のうち約7割で収益力の低下が鮮明化している。 【写真】話題の新NISA、荻原博子が「おやめなさい」と断言するワケ 銀行業界団体の“市場金利設定自主機構”は、1.8%以上の利ザヤを銀行の健全経営に必要としている。58行の内39行で、その健全利ザヤの1.8%を下回った。銀行経営の不安定性が高まっているといえるだろう。 中国の銀行は、いくつかのカテゴリーに分類され管理されてきた。最も規模の大きいのが、5大国有銀行をはじめとする大型商業銀行だ。 次に株式制商業銀行、都市商業銀行、農村商業銀行、より小規模の村鎮銀行に分類される。傾向として、規模の小さい銀行ほど利ザヤは低下した。 足許、中国最大の銀行である、中国工商銀行(ICBC)でも利ザヤは縮小傾向にある。今後、中国人民銀行(中央銀行)は追加の金融緩和を実行する可能性が高い。
先行きに不透明感
中国経済については、需要喚起策の遅れなどでデフレ圧力は増すとみられる。資金需要も停滞気味に推移するだろう。利ザヤの一段の縮小や不良債権問題で、今後、中国の金融システムの先行きに不透明感が高まる恐れもある。 銀行にとって利ザヤは、収益力を評価する最も重要な財務指標の一つだ。利ザヤは、受け取り金利と支払金利の差だ。その数字を、純利子収入が融資など金利を生む資産残高で割り算をする。それが利ザヤである。純金利マージン(ネット・インタレスト・マージン、NIM)と呼ぶこともある。 資産の残高を一定と仮定すると、利ザヤの拡大に、(1)資金需要の拡大(金利収入の増加)、あるいは(2)資金調達コストの低下(支払い利息の減少)が必要だ。現在の中国では、不動産バブル崩壊による景気停滞、中央銀行による利下げによって金利収入は減少している。 短期と中長期の国債の流通利回り(金利)の差も縮小した。不動産や地方政府傘下の融資平台などのリスク上昇により、中小の銀行を中心に資産の価値も下落した。 その結果、利ザヤの縮小圧力は高まった。国家金融監督管理総局によると2012年7~9月期、中国銀行業界全体の利ザヤは2.77%あった。2023年1~3月期の利ザヤ水準は1.74%、10~12月期は1.69%に落ち込んだ。健全性維持に必要な1.80%を下回り、経営体力に懸念高まる銀行が増えた。