奄振予算219億円要求 前年度当初比7%増 25年度・国交省
国土交通省は27日、2025年度予算案の奄美群島振興開発関係概算要求(同省一括計上分)を発表した。公共、非公共を合わせた総額は24年度当初予算比7%増の219億7800万円で、地元自治体の裁量で使うことができる奄美群島振興交付金は20%増の28億3800万円を計上した。今年度から沖縄路線が加わった航路・航空路運賃軽減事業の利用対象追加や鹿児島県奄美群島で創業した人への支援など、既存事業の拡充を盛り込んだ。 公共事業の要求額は24年度当初比5%増の191億3400万円。治山は瀬戸内町、知名町で風潮害防止のために防潮工事や植栽などの事業費を計上した。治水は大和ダムの水質観測設備の更新、奄美市住用町の川内川などの砂防えん堤補修を要求。海岸は瀬戸内町の古仁屋港海岸で老朽化した防潮堤の改良、宇検村湯湾地区で堤防の補修、知名漁港海岸で漁港の護岸補修を要望した。 道路整備は主要地方道伊仙│天城線の島権大橋など、橋梁・トンネルの点検・修繕を行う。港湾は名瀬港、和泊港で岸壁、防波堤の整備を継続。空港は奄美空港、徳之島空港、与論空港でRESA(滑走路端安全区域)を整備する。道路環境は通学路の安全対策として知名町で歩道整備を進めるほか、和泊町、与論町で県道無電柱化を継続する。 水道廃棄物処理では奄美市、宇検村、瀬戸内町、天城町で簡易水道事業を計上。徳之島愛ランドクリーンセンター(伊仙町)の焼却炉などの設備改良も盛り込んだ。 農林水産基盤整備では、喜界島、沖永良部島の地下ダム、用排水路施設の整備を継続。水産基盤整備では古仁屋漁港(瀬戸内町)、早町漁港(喜界町)、龍郷漁港で漁港や漁場整備を進め、漁港施設の機能強化や水産物の安定供給を図る。 社会資本総合整備(交付金)では、自治体が管理する道路や港湾などの整備、砂防えん堤工や道路耐震化、のり面対策など防災・安全対策に関する要望額を計上した。 非公共の奄振交付金では、航路・航空路運賃軽減事業の対象に、奄美群島外の学校に在学し、群島民に扶養されている人や介護帰省者といった「準住民」を追加。準住民の運賃割引率は従来の約35%から約50%に引き上げられる。 成長戦略の実現に向けた支援では、群島での創業等に対する支援を拡充。金融機関から創業資金を借り入れた際の利子について、一定期間補給する制度創設を検討している。 沖縄との連携強化を視野に入れた農林水産物輸送コスト支援や航路・航空路運賃軽減、奄美周遊・沖縄連携観光を促進する既存事業は継続する。台風対策の平張りハウス整備や農業機械の導入、堆肥の安定供給対策として、家畜排せつ物の堆肥舎整備など農林水産業の振興に関する各種事業も引き続き実施する。 24年度当初比7%増の予算要求について、国土交通省国土政策局は「地元の要望などを踏まえ所要額を計上した」としている。
奄美の南海日日新聞