【生活保護】を受けたらどんな扶助が受けられる?意外と知らない8つの扶助
最大10万円が受け取れる「住民税非課税世帯への給付金」の支給準備が、各自治体で着々と進んでいるようです。なかには、すでに給付金が支給されたという人もいるでしょう。 ◆【写真6枚】生活保護はいくらもらえる?各扶助の基準額を図表でチェック 住民税非課税世帯への給付金は、要件を満たせば生活保護世帯にも支給されます。生活保護世帯は、給付金のほかにさまざまな扶助を受けられます。果たして、どのような給付内容があるのでしょうか。 この記事では、生活保護の概要や認定要件、受給者数といった情報を交えながら、給付内容について解説します。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
生活保護の概要
生活保護とは、所得が少なく生活に困っている人に対して保護をすることで、その人の「健康的で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を手助けする制度です。 生活保護を受けるための要件は、以下の4つです。 〈生活保護を受けるための要件〉 ・資産の活用:預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却して生活費に充てること。 ・能力の活用:働ける場合は、能力に応じて労働すること。 ・あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられる際は、それらを優先して活用すること。 ・扶養義務者の扶養:親族などから援助を受けられる際は、援助を受けること。それでもなお収入が最低生活費に満たない場合は、保護を適用する。 生活保護は、資産を売却して生活費に充ててもなお困窮する場合に、保護が認められます。 働ける状態であれば労働の必要があり、年金や扶養といった制度が活用できるなら、それらを優先しなければなりません。どの手段を講じても生活に困窮する際に、はじめて保護が認められるのです。 生活保護の支給金額は「最低生活費から収入を差し引いた分」です。最低生活費については、後ほど解説します。
生活保護における扶助の種類
生活保護で受けられる扶助は、以下の8つです。 ・生活扶助 ・住宅扶助 ・教育扶助 ・医療扶助 ・介護扶助 ・出産扶助 ・生業扶助 ・葬祭扶助 生活扶助・住宅扶助・教育扶助は個別に、医療扶助・介護扶助と出産扶助・生業扶助・葬祭扶助はまとめて解説します。 ●生活扶助 生活扶助は、生活に必要な食料品や日用品、衣服など、生活に必要な費用に対する扶助です。日常の暮らしで必要なもの全般に対して受けられ、光熱水費や食器代なども対象となります。 ただし、高級なアクセサリーなど、生活に不必要なものに対する扶助は出ません。必要最低限のものに対する支出のみ、扶助の対象となります。 支給される金額は「食料品などの個人的費用」「光熱水費などの世帯共通費用」を合算した金額です。「第1類基準額」と呼ばれる基準となる金額に世帯人数ごとの逓減率を掛け、世帯人数に応じた第2類基準額を足し合わせて算出します。 たとえば、60歳で1級地-1と呼ばれる自治体に住んでいる人(単身世帯)が生活扶助を受ける場合、扶助金額は以下のとおりです。 4万6930円(第1類基準額)×1(逓減率)+2万7790円(第2類基準額)=7万4720円 ただし、障がいのある人やひとり親世帯などは、加算額が追加で支給されます。 〈障がい者〉 ・1級地 ・身体障害者障害程度等級表1・2級に該当する者等:2万6810円 ・身体障害者障害程度等級表3級に該当する者等:1万7870円 ・2級地 ・身体障害者障害程度等級表1・2級に該当する者等:2万4940円 ・身体障害者障害程度等級表3級に該当する者等:1万6620円 ・3級地 ・身体障害者障害程度等級表1・2級に該当する者等:2万3060円 ・身体障害者障害程度等級表3級に該当する者等:1万5380円 〈ひとり親世帯〉 ・1級地 ・児童1人の場合:1万8800円 ・児童2人の場合:2万3600円 ・児童3人以上の場合(1人につき):2900円 ・2級地 ・児童1人の場合:1万7400円 ・児童2人の場合:2万1800円 ・児童3人以上の場合(1人につき):2700円 ・3級地 ・児童1人の場合:1万6100円 ・児童2人の場合:2万200円 ・児童3人以上の場合(1人につき):2500円 〈児童を養育する場合〉 ・1万190円(児童1人につき) また、現行の制度では1人あたり1000円の特例加算などが追加で支給されています。 なお、支給額は自治体の級地ごとに異なります。支給対象となる場合は、自分の住む自治体の級地を確認しておきましょう。 ●住宅扶助 住宅扶助は、家賃や地代といった住宅にかかる費用に対する扶助です。生活保護を受給する際は、すでにローンを払い終えた持ち家などを除き、原則土地や家屋の売却が必要です。 その代わり、保護を受給することになれば家賃や敷金・礼金といった費用に対して扶助を受けられます。 基準額は、以下のとおりです。 ・1級地:5万3700円 ・2級地:4万5000円 ・3級地:4万900円 支給される金額は自治体によって異なります。生活保護を受給する際に賃貸物件に住む際は、できる限り扶助の金額を超えない賃料の物件に住むようにしましょう。 ●教育扶助 教育扶助は、義務教育にかかる費用に対する扶助です。教材費やPTA会費、給食費などの支出が扶助の対象となります。支給基準額は、以下のとおりです。 ・小学生:2600円 ・中学生:5100円 教育扶助は小中学生の子どもがいる世帯には支給されますが、子どもがすべて高校生以上の世帯には支給されません。 高校の教育費に関して支援を受ける場合は、後述する「生業扶助」が該当します。 また、文部科学省では「高等教育の修学支援新制度」を実施しているため、そちらの活用も検討しましょう。 もし子どもが大学進学を目指す場合は、日本学生支援機構の「給付型奨学金」の申し込みも検討するとよいです。 ●医療扶助・介護扶助 医療扶助は医療サービスに対して、介護扶助は介護サービスに対しての扶助です。 支給は生活保護の受給者ではなく、医療機関や介護事業者に支払われます。その代わり、本人は病院や介護事業所での費用負担がありません。 対象となる主な医療サービスや介護サービスは、以下のとおりです。 〈医療サービス〉 ・診察 ・薬の処方 ・医学的処置や治療、手術 ・看護 〈介護サービス〉 ・居宅介護 ・福祉用具の利用 ・住宅の改修 ・施設介護 持病のある人や通院中の人でも、安心して医療や介護といった福祉サービスを受けられます。特に高齢の人にとっては、有用な扶助といえるでしょう。 ●その他の扶助 そのほかに受けられる扶助としては、以下のものがあります。 ・出産扶助:出産費用を支給 ・生業扶助:就労に必要な技能の修得にかかる費用を支給。高校就学費(月額5300円)も含まれる。 ・葬祭扶助:葬儀費用(火葬代など)を支給 いずれも、定められた範囲内で実費支給される扶助です。出産や職業能力の開発、葬祭での支給というのは、健康保険や雇用保険に似た側面があるといえます。 また、高校は義務教育の範囲ではないため、就学費用については生業扶助で支給することとなっています。支給金額は、月額5300円です。