「俺は元の数字が見たいんだ」いきなり本質をつかむ、イーロン・マスク流の問題解決法とは?
■ 俺は元の数字が見たいんだ 彼の数字に対する姿勢には驚かされます。こんなこともありました。 買収のあと、いきなりリストラを始めたせいで、売り上げのデータを管理していたファイナンスの人たちも解雇してしまっていました。売り上げのデータがバラバラになっている状況で、データを探さないといけない。 イーロンはミーティングで「その数字はどこにあるんだ?」と聞きました。誰かが「タブローにありますよ」と返すと、「タブローはそもそも『元の数字をどう見せるか』のソフトウェアだろ。俺は元の数字が見たいんだ」と言うのです。 タブローというツールのことまでちゃんとわかっているのはすごいなと思いました。果たして何人の日本の経営者がタブローのことをわかっているでしょうか? セールスフォースを自分で使ったことがある経営者すら、けっこう少ないと思います。 イーロンは自分で全部のソフトウェアを使いこなして収益を見ています。もちろん勘所もすごいのですが、自分でツールを使っているからこその勘所なのかもしれません。 ■ 相関関係を見抜いて問題解決をする イーロンが見ているのは「相関している数字の動き」なのだと思います。そこから、収益の変化に気がつく。 だから「本来は日本の広告市場はこれだけあって、これだけの利用者がいる。だから広告売上の数字もこれくらいになるはず。なのに、上がっていない」といった違和感に気がつくわけです。本来は数字が一緒に変わるはずなのに「なんでここはついて来ていないんだ」というのを見抜く。こうして「相関関係」を見抜いて対策を講じていけるところが、イーロン・マスクのビジネスセンスなのでしょう。 もう少し詳しくお話ししましょう。 アメリカと日本の広告の大きな違いは「eCPM(広告における1000インプレッションあたりの課金額)」の単価の違いです。これが原因で差が出てしまう。「なぜ、eCPMによってそんな違いが出てしまうのか?」というのはまた別の話になりますが、とにかく日本とアメリカではそもそも広告市場の成り立ち方などが違っているのです。 だからイーロンが相関を見ているとき、こちらとしては「eCPMが違うからこの数字なんです」とちゃんと伝えることが大切です。すると彼は「ああ、そうなんだ。じゃあ、なぜ?」というように話を進めてくれます。さらにどんどん、他の相関関係の話になっていく。最終的には根本の問題に辿り着いて「そこに対してこうしよう」と解決策が提示できます。