NTTの「日本仕様の自動運転車」の現在地。調布に実証拠点、30年以降に商業化目指す
NTTがアメリカの自動運転スタートアップのノウハウを吸収し、「日本仕様の自動運転車」を実現するための取り組みを加速している。 【全画像をみる】NTTの「日本仕様の自動運転車」の現在地。調布に実証拠点、30年以降に商業化目指す 小田急電鉄の成城学園前駅からバスで約10分の場所にある、東京・調布市の研修施設「NTT中央研修センタ」。ここに、NTTがこの11月に立ち上げた自動運転の実証拠点がある。 NTTが実証拠点を整備した目的は、机上での検証と実際の車両検証をセットで実施できる環境を作ること。NTTは2030年以降に自動運転を商業化し、1000億円以上の年間売上を目標としている。
NTTグループ総動員で交通の課題解決を
NTTグループは、交通にまつわる社会課題を解決すべく、さまざまな取り組みを全国各地で続けている。例えば、ドコモ・バイクシェアでのシェアサイクル事業や、ドコモの「AI運行バス」などがある。 その一環として、NTTグループでは、ドライバーの高齢化や減少に伴うバス・物流業界の人手不足を背景に、自動運転にも力を入れてきた。自動運転の実現には、専用のシステムを搭載した車両のほか、走行ルートの設計に必要なデジタルマップや、車両の遠隔監視システムなどが必要になる。NTTは自社の技術を活用しつつ、パートナー企業の力も借りて早期の社会実装を目指す。 2023年11月には、アメリカの自動運転スタートアップであるメイ・モビリティ(May Mobility)に出資。同社の自動運転システムを日本国内で独占的に販売できる権利を得て、パートナーシップを深めてきた。 NTTでは、ニーズに合わせてサイズの異なる自動運転車両を用意する方針だ。メイ・モビリティとのタッグで取り組むのは、乗用車型(乗車定員4~5人)の車両。 ほかには、NTT西日本がフランス・Navya Mobility SASと取り組むコミュニティバス型の車両(乗車定員13人)や、NTT東日本がティアフォーと取り組む路線バス型の車両(乗車定員24人)が挙げられる。 調布市で立ち上げた実証拠点は、こういった将来の自動運転技術を検証するための場所となる。
松本和大