「相手より強いんだ、と自分を奮い立たせて」 50年ぶり快挙の卓球日本女子団体、原動力となった16歳の張本美和
◇記者コラム「Free Talking」 卓球のアジア選手権女子団体決勝で世界ランク2位の日本が3―1で同1位の中国を破り、金メダルを獲得した。中国を破っての優勝は1974年横浜大会以来、50年ぶりの快挙だ。 シングルスで世界ランク7位の張本美和(16)=木下グループ=が躍動した。第1試合で同4位の王芸迪を退け、第4試合では同1位でパリ五輪銀メダルの孫穎莎に0―2とリードされながらも逆転勝ちした。 2023年12月の一戦を思い出した。名古屋で行われたWTTファイナル。世界ランキング上位の選手が争う大会で当時、世界ランク14位の張本は同1位の孫と2度目の対戦となった。同年10月の初対戦ではストレート負けしたが、この試合ではフルゲームに持ち込んだ。敗れたものの、ラリー戦では世界女王と堂々と打ち合い「悔しさ6割、手応え4割」と振り返った。 急成長する中で、日本のトップ選手が世界のトップ選手と戦う上での心構えをこう明かした。 「ずっと向かっているだけだと強い選手に勝ちにいけない部分もあるので、『相手より強いんだ』と自分を奮い立たせてやる部分もある」 この試合での戦いぶりも、パリ五輪代表入りへの評価の一つとなった。夏の大舞台を経験し、9月の世界ツアー戦でも孫と2―4の熱戦を繰り広げた。個人戦では全敗中だった相手に、団体戦の場で大金星。まだ伸び盛りの16歳だけに、今後の中国選手との戦いがますます楽しみになる歴史的な一勝だった。(一般スポーツ担当・広瀬美咲)
中日スポーツ