“ポスト稀勢の里”は見つかったのか?3人の次なる日本出身横綱候補と彼らの死角
大相撲の初場所は冬の嵐のような場所だった。横綱稀勢の里が3連敗を喫し、引退を表明。白鵬と玉鷲のデッドヒートとなり最後の最後に白鵬まで休場。横綱不在となり34歳と2か月のモンゴル出身力士、玉鷲が初優勝を飾った。 だが、98年名古屋場所の若乃花以来19年ぶりの日本出身横綱の引退は、次からの場所に影を落とす。相撲ブームをV字回復させた立役者が消え、またファンは次なる日本出身横綱の誕生を待たねばならなくなった。 では、次の日本出身横綱の候補、“ポスト稀勢の里”は誰なのか―。 筆頭候補は稀勢の里と同じ田子ノ浦部屋の大関高安だろうか。同じく日本人大関の豪栄道が32歳でしばしば「自分の相撲人生もそんなに長くはない」と公言しているのに比べ、28歳と若い。また強烈なかち上げからのはたき込みという「型」を持ちつつ、まわしをとっての四つ相撲でも腰の重さ、器用さで強みを見せる。 ただ、問題もある。大関になって10場所になり3度の準優勝を経験しているが、優勝がない。平幕時代にもない。初優勝の絶好のチャンスだった昨年九州場所では、勝てば貴景勝との優勝決定戦という千秋楽の一番で御嶽海に敗れるなど、勝負弱さがつきまとう。 2番手は小結御嶽海。年齢は26歳。17年春の返り三役から10場所連続勝ち越しという安定感に加え、9場所目の昨年名古屋場所で関脇として初優勝も果たした。出稽古では全力を出さず、平幕力士にもコロコロ負けるが、本場所になれば結果を残す。いわゆる“場所相撲”に首を傾げる親方、力士は多いが、高い技術に裏打ちされた押し相撲が紛れもない本物であることは、この初場所でも3横綱1大関撃破という形で証明された。しかし、高安同様に不安は残る。 稽古場で力を出さないというスタイルのせいか、しばしば指摘されるのはスタミナ、体力不足だ。返り三役から初場所までの12場所で2桁白星を挙げたのは、優勝した1場所のみ。ちなみにその1場所は3横綱休場により、横綱戦がなかった。目立つのは中盤以降の失速。初場所でも6日目に左膝を負傷、途中4日間を休場する“キセル”で三賞(殊勲賞)獲得という史上初の珍事で話題を呼んだ。体力的な不安を克服できるのか。