【天皇陛下と雅子さまのイギリスの思い出】オックスフォード大学で過ごした青春の日々
6月22日から29日まで、天皇陛下と雅子さまはイギリスに公式訪問されています。お二人でイギリスを訪問されるのは、2022年9月にエリザベス女王の葬儀に参列されて以来2回目。今回は国賓として、国際親善のためのご訪問です。 【写真】天皇陛下、英国留学時代の貴重なお写真はこちら。 日本の皇室とイギリス王室は、長年にわたって親交を深めてきました。さらに天皇陛下と雅子さまにとってイギリスは、かつて若いころ、それぞれがオックスフォード大学で学んだ思い出深い国。天皇陛下と雅子さまは、ご留学中にどんな人や出来事に出合い、何を思われたのでしょう? お二人の英国での青春の日々を振り返ります。
「雅子とともに、イギリスの地を再び訪れることを願っている」
1983年6月から1985年10月までの2年4ヵ月、浩宮さま(今の天皇陛下)はイギリスにご滞在。そのうちの2年間はオックスフォード大学マートン・コレッジで留学生活を送られました。その間、生涯の研究テーマとなる水について考察を行うのはもちろん、自由な一人の学生としてさまざまな体験をされました。 帰国後、浩宮さまは英国留学時代の思い出を、著書『テムズとともに――英国の二年間』にまとめられています。若々しい感動にあふれるこの著書は、2023年に学習院創立150周年の記念事業の一環として新装復刊されました。その際に加えられた「復刊に寄せて」のなかで天皇陛下は、 「遠くない将来、同じオックスフォード大学で学んだ雅子とともに、イギリスの地を再び訪れることができることを願っている」 と綴られています。ようやく、その願いが叶うときがやってきたのです。今回の訪英では、お二人が学んだオックスフォード大学への再訪も予定されています。懐かしい人々との再会を喜びながら、どのような思い出を語り合うのでしょう。お二人の明るい笑顔が目に浮かびます。
【天皇陛下】お小さい頃からヴィオラのレッスンを
浩宮さまは学習院大学大学院に在学中に、英国に留学されました。ご留学中、学問への取り組みや学寮での友人と過ごす日常を基盤としながら、テニスや登山などのスポーツや旅行を楽しまれました。ふだんはブルーのセーターとジーンズにスニーカーを履いて自転車を乗り回されていたといいます。日本にいては到底味わえない自由を謳歌されたのです。 その中で、とくに浩宮さまの心に残ったのは、芸術とのふれあいでした。オペラやコンサートをさかんに鑑賞し、レコードを買い集めたといいます。とりわけ、ヴィオラを演奏される浩宮さまは、友人と室内楽を楽しまれたり、公演に参加するなど演奏家としても活動されました。 浩宮さまは、いつごろからヴィオラを弾かれるようになったのでしょう。 浩宮さまが音楽に関心を持たれるようになったのは、4~5歳のころでした。「おもうちゃま(お父さま、今の上皇陛下)と同じようにチェロを弾きたい」とおねだりされたといいます。 そのころ、東宮御所にはたえず音楽が流れていました。美智子さまがピアノを、明仁親王殿下(今の上皇陛下)がチェロをお弾きになっていたからです。でも、チェロは大きな楽器。子どもには難しいということで、バイオリンを習うことになりました。 その後16歳ごろになると、バッハ・コレギウム東京の濱田徳昭(のりてる)さんから、ヴィオラのレッスンを受けられるようになりました。のちのことになりますが、1980年に学習院大学卒業の際に東京・上野の東京文化会館で行われたバッハ・コレギウム東京・日本オラトリオ連盟の演奏会では、浩宮さまが首席ヴィオラでコンサートデビューされ、それ以後はヴィオラ奏者としての勉強を続けながら演奏活動も行っていらしたのです。