葬儀社の倒産、過去最多 「格安」に苦戦
葬儀社の淘汰(とうた)が進んでいる。「格安葬儀」に押され、倒産・廃業は過去最多となっている。
2024年1~11月に発生した葬儀社の倒産(負債1000万円以上の法的整理)は12件、休廃業・解散は35件あり、計47件を記録した。前年同期間に比べ約1.7倍のペースで増えており、通年(1~12月)で過去最多だった07年(42件)を超えている。調査会社の帝国データバンクが発表した。 少子高齢化の進展によって50年には年間死者数が162万人に達すると見込まれている。「多死社会」の到来でエンディング産業には追い風が吹いており、経済産業省の調査によると、葬儀業の年間取扱件数は23年に50万件を超えて過去最多となった。
一方で、同年の葬儀業売上高は5944億円にとどまり、過去最高だった17年の6112億円に届かなかった。帝国データバンクは、新型コロナ禍を機に、少人数の家族葬など簡素な葬儀スタイルの需要が広がり、葬儀料金の低価格化が進んだことで葬儀各社が伸び悩む要因になったとみている。さらに、大手葬儀社の相次ぐ店舗開設に加え、インターネットでの営業・仲介を主とする低価格業者、異業種からの参入が重なって経営環境は悪化しているという。 帝国データバンクの担当者は「小規模葬が主流となる中、単価の引き上げは容易でなく、価格競争についていけない中小葬儀社の淘汰、再編が今後も進む可能性がある」と分析している。